2019年冬アニメ 総評

2019年1月〜3月期のアニメシリーズの、最終的な総評と感想を述べていきます。

第1話時点での評価はこちら、途中経過はこちら、また評価基準についてはこちらをご覧ください
MALはMyAnimeListの現時点のスコアと投票人数です。

 

以下、感想は完全にネタバレになるので、まず作品ごとの評価だけ紹介します。A評価以上のものは一度視聴してみるのを強く勧めますので、是非ご覧になってみてください。

今期最終評価はこちらです。

 

A

荒野のコトブキ飛行隊
かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~
約束のネバーランド

B

ケムリクサ

C

どろろ(未完)
ブギーポップは笑わない

D

revisions リヴィジョンズ

 

そして今期ベスト作品ですが、今回のAの3作品はどれも甲乙つけ難く悩ましかったです。逆に言えばどれも突き抜けて素晴らしいということもなかったとも言えますが。

なので3作品同列表彰でも良かったのですが、いろいろ考えた結果一つに絞ることにしました。選定理由はそれぞれの作品評で述べます。

 

僕が選ぶ今期最優秀作品、すなわち2019年冬期ヒゲメガネボウズ賞は、

荒野のコトブキ飛行隊

です。

 

では各作品の詳細な感想を述べていきます。ネタバレ注意。

 

 

 

 

A 荒野のコトブキ飛行隊 (MAL: 6.99/4.2k)

(企画、脚本、コンテ、音楽、音響、キャラクターデザイン、OP:A

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——「怒りと恨みが重しになるなら、私を飛ばすのは自由だ!」

 

今期ベスト作品に選んだ理由ですが、まずは原作つきではないオリジナルアニメ作品であることと、最終回にきっちり山場を作ってきたというのが決め手になりました。主役の6人娘全てに見せ場を作り(ケイトは前話にあったのでやや軽めでしたが)、非常に派手で見応えのある空中戦、新曲も投入し完全にコンテと一体化した音楽、どれをとっても隙のない仕上がりです。沢山いる登場人物を1エピソードの中でバランスよく描き切るのは、これまでも『ガルパン』や『SHIROBAKO』で発揮されてきた水島監督の卓越した能力ならではのものでしょう。

 

脚本もよくできていました。第4話ザラの「昔ちょっとね〜」や5話レオナの「ない!」、各話に登場するナツオ整備班の「よろこんで!」など、随所に遊び心があっていいですね。最終話前半のザラのレオナに対する深い愛情が現れた会話も実に良いし、執事の「イサオ様、おやつの方向!」もすごく好きです。飛行機乗っ取り返しも面白い。こういう仕事が脚本の横手美智子によるものなのか水島監督自身がやってるのかはわかりませんが、いずれにしろこのコンビはそういった点で必ず期待に応えてくれますね。

 

世界観設計も面白いです。最後まで見てようやくわかることですが、要は「正しく使われていない日本の遺物」があちこちに散らばっているわけですね。3話のラハマ会議で使われている土俵や、飛行船内バーの扉のなど、探せばたくさんあります。ユーリアの部屋にあるブランコも、最初は彼女の意外な幼児性を表すアイテムかと思ったのですが、おそらくあれも単に使い方を間違えてる、というか子供の遊具という文化を知らないのでしょう。こういったところで世界観を膨らませるのが作品を豊かにする上でとても重要なのです。

 

音楽は水島作品と言えばこの人、浜口史郎です。アニメ劇伴では僕が最も尊敬する作曲家の一人です。

今作もガルパン同様、テーマアレンジのテクニックが光るサウンドトラックでした。最終話前半の「一機入魂!」の後の音楽など、西部劇風のスタイルがとてもいいですね。そしてなんと言っても中間部の高架下での戦い、ここはコトブキのテーマとイサオのテーマをうまく混ぜた音楽を作っています。最も盛り上がるシーンでこの音楽、もう劇場版のような豪華さですね。

ただガルパンのサウンドトラックが大変な名作なのと比べると、物足りないというのも正直な気持ちです。とは言えあんなレベルのがポンポン作れるはずもないので、また次の作品に期待しましょう。僕はまだガルパン最終章も見ていないので、そちらの音楽も楽しみにしています。

 

キャラクターデザインは、CGとも中々良かったと僕は評価します。特にキリエは主役だけあってよく出来てます。表情豊かでどの角度からでも崩れることなく可愛らしさを保っていました。キャラクター原案は有名なアトリエシリーズの黄昏三部作を担当した(検索しづらい名前…)、とても人気で僕も好きなイラストレーターです。

 

 

 

 

これは11話のキリエで、発進前なのに呆けててパンケーキ顔とネタにされてます。現代的なボブカットを採用しつつ、アニメキャラクターらしいキャッチーさもあって僕はとても好きです。一本まつげもよく似合ってます。

途中経過でも述べた通り2Dっぽさを残した3Dデザインの追求は今後もずっと続いていく大きな課題でしょう。現時点での技術力と照らし合わせて、今作のCGは十分評価に値すると僕は思っています。

 

さて、不満点・疑問点についてですが、作品を「12話でまとめる」という観点からだけ考えると、この企画自体がそもそも難しいと思われます。

例えばこの後続編や劇場版を作るとしたらどうするか、と想像してみてください。当然「穴」を巡る物語になるわけですよね。飲み込まれたイサオがどうなるのか、最初に日本軍と邂逅したときのように、実際彼らがどうやって穴と繋がってこちらに来たのか、そもそも穴の原理は何なのか、そういった内容になるのは間違いないわけです。実際の歴史上の出来事とリンクさせたようなif歴史物という路線もあり得ます。

大きなシナリオだけ考えるならそこまで描き切ってようやく綺麗にまとまるところなのですが、それは12話では不可能です。キャラクターの紹介もしなきゃいけないし、戦闘機の紹介もしなきゃいけないし、エピソードとして自然な形で空戦を描かなくちゃいけませんし。なので大きな目標、あるいは大きな謎に向かって「ああ続きが気になる!」という引きを残したシリーズ構成にするのがほぼ不可能なので、そこらへんがそもそもの企画の矛盾点というか、解決仕切れない難題だったと思います。

 

その引きの一つであった「第1話から登場する謎のライバル」ですが、正直肩透かしだったのは否めませんね。ナオミというキャラクターは嫌いではありませんし、その後のカミラやアドルフォとのやりとりを考えると「まあこれはこれで」と思わなくもないのですが、単純に考えるなら王道的にキリエの恋人役になりうる男をあてがうのが普通じゃないかなと僕は思います。

現在公開中の「劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜」(公式HP)でのインタビューで石原監督がこう言っています。

 

こういった(女子がメインキャラの)アニメで、男の子を出すのは嫌いな方もいらっしゃいますけれど(笑)。僕としては、アニメで女の子が可愛く見えるのは、男の子に恋をした瞬間や、その相手の前にいるところだと思うんですよ。だから、今まではあまり描かなかったのですが、今回の映画では特に意識して、秀一の前での久美子の可愛さを描くようにしました。

 

これは僕もまったく同意ですね。特に表情豊かなキリエですから、そういった相手を前にして動揺する瞬間を見てみたいと思うのが人情でしょう。まあここらへんが企画の限界だったのか監督の意志によるものなのか、それはわかりません。

今作はスマートフォンゲームとのメディアミックス企画なので、そこらへんの事情との兼ね合いが難しいのは容易に想像ができます。CGを一から作る手間と予算を考えれば最初から2クールものでも良かったんじゃないかなと単純に考えてしまいますが、難しかったんでしょうかね。今後の展開にも期待したいところですが、ゲームの方があまり好調とは言えないのを見ると、厳しいかもしれませんね。

 

その他シナリオ上の疑問点は、レオナとイサオの関係性についてです。第5話で(劇中では)初めて二人が出会い、レオナは過去に作った借りを清算するためにその後暴走してしまうのですが、それが11話の説得シーンにも繋がっていきます。過去に借りを作った、命の恩人だった、というだけで無茶な暴走や無謀な説得に走るというのは筋書きとしてどうなのかな、と思います。まあ命を救われたシーンを回想で丹念に描くならわかるのですが、そんな尺はないわけで、レオナの口から語られる恩義だけでは視聴者の納得感には不十分ではないでしょうか。現にniconicoではそんなコメントも多かったです。

いっそ血縁関係にしてしまえば良かったのでは、というのが僕の意見です。事情があって疎遠になった兄妹か親子という感じで。レオナはイサオに良い感情を抱いてはいないが、それゆえに借りを作りたくないという気持ちや、そうであっても心の底ではまだ信頼感が残ってるから説得にまわるとか、レオナの感情に少し背景がつけ加わるだけで納得感が大きく違うと思うんです。血縁にしてしまうと発生する問題点というのが特に浮かばないので、この方が良かったんじゃないですかね。イサオ自身もこれによって(レオナとの過去を描くことで)そのキャラクター性を深く描きやすいですしね。

 

最後に声についてですが、これはなかなか良かったです。主役はレオナ(声:瀬戸麻沙美)以外知らなかったので他は多分新人クラスだと思われますが、どれも頑張っていました。11話のキリエ(声:鈴代紗弓)が激昂するシーンや、最終話のチカ(声:富田美憂)がキリエを涙声で呼びかけるシーンなど、特に良かったですね。

先述したナオミ(声:伊藤静)やとても西住殿とは思えないカミラ(声:渕上舞)をはじめ、脇を固めるベテラン勢もとても良かったです。キャスティングとディレクションについてはさすがの水島努です。

 

一般的なアニメ視聴者の環境がどのようなものかはわかりませんが、おそらく最近だとスマートフォンでイヤホンもつけず見てる人も少なくないんじゃないでしょうか。そう考えると今作のような音響が命の作品はまったく魅力が損なわれることになりますし、今後もそこに力を入れる作品が減っていくのだろうと思われます。残念でなりませんね。

 

まとめとしては、そもそもの企画自体をここまでまとめ上げることが出来るのは水島努以外にいないだろうという点も込めて、今期ベストに決めました。本来なら今月下旬に発売予定のBD-BOXを買って作品研究をしたいところなんですが、日本に帰るまではしばらくお預けですね。

 

 

A かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ (MAL: 8.53/127k)

(OP:S、声:A

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最後まで安定して面白い作品でした。海外人気が高いのも頷けます。

まず何と言ってもオープニングの素晴らしさですね。発想が音楽プロデューサーなのか監督なのか、どこから来たのかわかりませんが、本当に見事なチョイスでした。「ねえミスター」と呼びかける歌詞からわかる通り、女性目線つまりかぐやの目線で歌ったものにも関わらず、それを男性が、特にミスターの象徴とも言えるような鈴木雅之に歌わせるというのがもう完璧な配剤としか言いようがありません。歌詞も音楽も最高に良いです。

そして単独記事でも紹介した3話の特殊EDのキャラソン、「チカっとチカ千花っ♡」も実に素晴らしい。この2曲を生み出しただけでも十分に価値がある作品です。

 

声優陣もまた良かったです。後半から登場の石上(声:鈴木崚汰)は暴走したときの気持ち悪い声が実に良く表現されていましたね。早坂(声:花守ゆみり)も後半から出番が増えてきましたが、看病回を筆頭に素晴らしい声がたくさんありました。

 

 

ここすき

 

しかしなんと言っても、途中経過でも言いましたが、千花(声:小原好美は完璧でしたね。彼女の声が僕の中の評価をかなりの部分で下支えしています。もちろん主役の二人も大変素晴らしいのですが、千花は「一度聴いてしまうと彼女以外考えられない」というレベルでハマってます。こういうキャスティングができると音響監督は気持ちいいんだろうなーなんて思います。

 

不満点としては、ちょっとダレるなーというエピソードが少なくないのと、最終話がその前話の引きの割にそこまで盛り上がらなかったのが残念です。かぐやがタクシーを降りた後や御行がかぐやを発見するシーンなど、新曲を用意してくれたらまた違ったのでしょうけど。後半エピローグもネタとしては弱いですね。

 

僕の好きなエピソードは、
第1話「かぐや様は止められたい」
第4話「生徒会は言わせたい」
第5話「白銀御行は見せつけたい、かぐや様は差されたい」
第6話「藤原千花はテストしたい、かぐや様は気づかれたい」
第7話「かぐや様は入れたい、かぐや様は堪えたい(ちんちん回)」
第8話「かぐや様は呼ばせたい」

あたりでしょうかね。ずいぶん多いじゃねーか。いやだからA評価なんです。

でもこうして見ると僕は中盤エピソードが好きなんですね。後半ももちろん悪くはないんですが、多少ぶっ飛んでるエピソードが減ってきたのでそれは残念でしたね。

 

 

A 約束のネバーランド (MAL: 8.74/146k)

(作画、コンテ・演出、音楽:A

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物語としてはさあこれから、というところですが、12話でちゃんと一区切りついてしっかりまとまっています。MALスコアも今期ベストを記録しています。

全体的なクオリティがとにかく高かったですね。作画は高品質で安定していて、声は主役3人はもちろん、サブキャラもどれもよく合っていました。

 

語るべきは演出ですね。第1話から既にその品質の高さを述べてきましたが、それは最後まで持続されていました。

第9話、ノーマンがエマのために水を汲みに行くシーンで、歩くノーマンの後ろからカメラで追っていくカットがあります。そして水を汲み終わった後で部屋に戻るカットでまた同じようにカメラで追うカットを重ねています。

前者が失意の中で、一見冷静なように見えて内心は何も考えられないような状態なのに対し、後者は状況を全て整理し終えて、このとき既に自分自身が生き残ることは諦め、二人のために命を捧げる覚悟を決めた状態です。

それを、前者は手に何も持っていない、ぶらりと腕が下がった状態での後ろ姿を描くのに対し、後者は左手にコップを持って、その手がブレないような描き方をしているのです。「意識のない背中」と「意志を持った背中」を対比させることでノーマンの覚悟を描いているわけです。音楽の力も相まって実に効果的な演出になっています。

 

最終話、ママが回想のカットで塀を登るところからラストまでは完璧な流れでした。引いたアングルでエマが向こう岸に渡った後でそのままロープが切られて宙になびく。それに合わせてママが髪をほどいて、初めて見せる長髪が同じように風になびくカットが美しい。

回想でママの友達がマンドリンでテーマを弾いているときに薄くハーモニーをつけ、その後別れのシーンでその音楽が発展しクライマックスを迎え、ママの子守唄に繋がっていきます。

 

 

劇伴の最後のハーモニーと子守唄の調をちゃんと合わせて自然につなげ、その鼻歌からレイの鼻歌へと、ここまでの長い時間を音楽とコンテを完璧に合わせながら紡いでいくのが見事でした。この音楽とコンテの融合は第1話時点で既に述べていた通りで、それが最後までクオリティを保ち続けていたというのがすごいです。

 

音楽は今期で一番良かったです。途中経過で述べた鬼ごっこの訓練シーンの他にも、5話のノーマンとレイの会話シーン、8話クローネの回想シーンや、10話ノーマンの回想シーンなど、音楽が作劇を非常に強く支えてるという場面がたくさんあります。このサウンドトラックは単独発売する価値が十分あると思うのですが、残念ながら今のところBD・DVD特典のみなんですかね。入手できたら研究・分析したいところです。

 

さて、これは原作が週刊連載ゆえの宿命とも言えるのですが、エピソード間の「引き」や人物の感情表現がやや過剰になるきらいがあります。

5話エマの「そういう線引き、もう二度としないでね」や、10話ラストカットのエマなど、「キレた」表情があまり好きにはなれません。「引き」やサスペンス要素のためにキャラクター性を犠牲にするのは、なるべく避けるべきでしょう。素直にエマの意志の強さや決意を秘めた表情にするほうが好感が持てます。

 

11話でレイが自身にオイルをぶっかけてマッチを落とすシーン、これはノーマンが事前にレイの行動を予測し、それをエマに伝えてあったことが後で判明しますが、「だったらもっと早くレイを止めてあげろよ」という話になってしまいます。一旦エマが「昼間に脱走しよう」と提案したのがその後のレイの提案を引き出すためのブラフなのだとしたら、それを一通り聞いた後ですぐにそれをノーマンが予測済みだということを教えてあげればよかったのです。つまりこれも「引き」のための作劇上の都合なわけです。

マッチを落とす寸前までエマが動かない矛盾を解消するには、火事を起こすところまでは予測できてもレイが自分も死ぬつもりだったところまではノーマンが予測できなかった、とするしかないのですが、それだと話がまるっきり変わってしまうのでいけません。

 

これは「まあまあそれぐらいいいんじゃない」と言えなくもないですが、それ以上に看過できないのは「年少組もママを騙し通せた」というところです。エマとノーマンが真実を知った後でもママの前では何も知らない子供であることを演じ続けられたのは、その知性と鋼の精神力ゆえのものだと前半部で散々描いていたのに、「いや優秀でない子供たちでも演技出来るんかい」というのはズッコけてしまいます。

 

ただ、こうした矛盾点があったとしてもそれ以上に大事なものがあるというのは、週刊連載サスペンスの最高のお手本である『デスノート』を参照すれば明らかなことです。よくよく冷静になってみれば「それはないだろ」というツッコミ点を数多く残しながらも、スリリングな展開と緊張感を保ち続ければ矛盾点はさほど問題にならないわけですね。昨今乱立しているデスゲーム物の連載も、勢いだけで惹きつけるというのが案外悪くない成果を収めてるからこれだけ量産されているのでしょう。結局これも「好みのバランス」に合うかどうか、というだけの話なわけです。

 

僕としては、今作(の原作)に関しては「ちょっとやりすぎ」という意見です。「予想される展開を裏切ろうとする意思」がある一定のラインを超えてくるとちょっと白けてしまいます。そこよりもキャラクターの心情を丁寧に描写する方へ力点を置いてほしかったというのが最終的なまとめです。

しかし今も第2シーズンを楽しみにしているくらいには好きな作品でした。

 

 

B ケムリクサ (MAL: 7.13/3.6k)

以前に単独記事をあげているので、そちらをご覧ください。

 

 

C ブギーポップは笑わない (MAL: 7.20/22k)

(音楽:A

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思っていたよりは面白かった、というのが最後まで見た人の多くの感想じゃないでしょうか。

実はある時これの単独記事を書こうと思ってたのです。というのは、第10話から第13話の「夜明けのブギーポップ」が妙に出来が良かったからなんです。特に第10話はコンテ・演出と作画が非常に素晴らしく、このエピソードだけならA評価にしたいぐらいです。ほんとこのクオリティが全編で維持できていればなあと思わずにはいられません。

 

これまでの感想でも書いてきた通り、序盤の数話で相当印象を悪くしてしまったのが残念ですね。第4話からのイマジネーター編は悪くないのですが、それでも話がわかりづらい部分が多いし見所に欠けるのは否めません。第1話と第10話を比べたら本当に同じシリーズなのかというぐらいクオリティに差があるのはある意味で興味深いです。

 

 

これは第16話のもので、この回の作画監督はトリガー半田修平氏が務めていたため、全話通しても出色の作画クオリティになっていました。途中経過のときのサムネイルと比較すると違いがよくわかります。この回のいいんちょは本当可愛かったですねえ

 

声についてはこれまでも散々述べてきましたが、悠木碧自身や音響監督がこなれてきたのか、第10話以降では悪い印象はなく、むしろ流石の技術力を発揮してた場面も多かったです。特に第11話で藤花が診断を受けているシーンは名場面の一つですね。ブギーポップの喋り方は最初からこのぐらいだったら良かったんでしょうけどね。まあそれは意味のない仮定でしょう。

 

音楽は反省したのか後半になってからぶつ切りはまったく見られなくなりましたね。気づくのがちょっと遅かったですが。サウンドトラックそのものはクオリティが高いだけに、それを最大限に活かすことが出来なかったのは本当にもったいないことです。それにしても牛尾憲輔は安定感があって素晴らしいですね。あー早く『リズと青い鳥』が見たい。

 

 

C どろろ (MAL: 8.53/62k)

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12話まで。2クールシリーズの前半までの感想です。

「この作品、どこが面白いのか」と問われたときに答えることができない、というのが僕の正直な感想です。

全体のプロットは面白そうではありますが、各話エピソードは平凡、作画も声も美術も音楽も、悪くはないけれど魅力があるのかと言われれば、果たしてどうなのかという感じ。

 

各話シナリオについては、原作の時点でそれほど面白くはないのか、それとも原作の大事なエッセンスが取り除かれてこうなってしまったのか、それはわかりません。ただし前者だったとしても、『YU-NO』のときに述べたように、現在の目線からだけで語るのは注意が必要です。極論を言えば、これが元になって後の数々の作品が作られたとさえ言えるわけですから。

 

途中経過で述べた通り、音楽をかなり制限している「渋い作り」がここまでずっと続いていますが、敢えてそうしているだけの理由が僕にはまったく見出せません。音楽を使わないことで生まれる緊張感や微妙な心情の表現といったものは今のところ一切見当たりません。なので結局音楽を使わないデメリット、つまりテンポが悪く話の起伏が生まれにくいという面だけが浮き彫りになっているようにしか見えません。

海外評価が妙に高い理由に、「こういう作風が最近では珍しかった」以上のものはないというのが僕の意見です。

 

 

D revisions リヴィジョンズ (MAL: 6.39/3.2k)

 

 

結局こうなってしまったか。期待に応えてくれるような展開にはなりませんでした。

難しいストーリーテリングに挑んでくれたことは純粋に評価したいとは思っています。大介のキャラクター設計は少なくとも僕にとっては他に似た例がなく、新鮮で期待の高まるものでした。うまく転がせるのなら

 

途中経過で述べた「大介のキャラクター設計にどうケリをつけるのか」ですが、予想していた「破滅を招く」は「慶作の消失」でした。これが描かれる第9話が一番問題あるエピソードでしょうね。

冒頭で谷口作品特有の主人公たちのヒステリックな罵り合いが始まります。ここで大介をキレさせたのは良くなかったですね。慶作の消失以降大介が失意のどん底に一度落ちる、のかと思いきやそうでもないわけです。その後自信喪失したりする描写はありますが、その前にキレたら「そこまでいってもまだ反省してねーのかよ」というツッコミが先に入ってしまうので、これはマズかったです。

そして中盤で改めて慶作の存在の大きさを自覚して大介はむせび泣くのですが、その後結局自分自身で立ち直ってしまいました。これは思わず見てて「ええええ!?」となりましたよ。そしてその後署長のよくわからない死によって決意を新たにするのですが、これはもはや茶番ではなく破綻です。

 

例えば、
慶作の消失で大介失意のどん底→人質救出作戦で大介が提案をしつつも自信喪失で実行できず→大介がいれば救えたかもしれない場面で署長が死ぬ→署長の最後の言葉で大介が決意を新たにする

とかなら自然な流れで理解できるんですよ。

「慶作を喪った後でくよくよしている間にさらに他の大事な人まで喪った。その人が「自分の切り開く運命を信じろ」と言ってくれた。これまで他人から散々バカにされてきた運命という言葉を、この人と慶作だけは信じてくれたのに、それなのに何をやってるんだ俺は!」

となるんだったら熱い展開じゃないですか。これでようやくキャラクター設計にケリがつくんですよ。「過去に託された運命という言葉を信じ抜いて、それが現実となって、自分はやっぱり間違っていなかったと思っていたら、その運命を軽んじていたのはバカにしていた周囲ではなく自分自身だったと気づく」というのはドラマとしてよく出来てると思います。

それを結局自分自身の内面で解決できる程度のものなら署長が死ぬ必要はないでしょ、となってしまったわけです。現にほとんど無駄死にですし。散々大介のキャラクターを引っ張っておきながらこのオチにはがっくりきてしまいました。

 

その後第10話の冒頭でミロがいなくなると判明するやいなや罵倒を始める大介。もう無茶苦茶ですね。署長が草葉の陰で泣いとるわ。ここに至って「大介の物語」は完全に破綻して、あとは野となれ山となれです。

 

ラスボスだったニコラスも随分と小物に成り下がってしまって何のカタルシスもありません。あからさまに続編ありますよーという終わり方でしたが、やめたほうがいいと僕は思います。

 

 

まとめ

予想通りずいぶん長くなってしまいました。これだけ遅れると見てる方も新鮮味が薄れてしまうので、次からはもっと早くまとめようと思います。

A評価以上が3作品もあるというのは、今後はあまりないんじゃないでしょうかね。その意味では楽しめたクールではあります。

いつも通り、ご意見は大歓迎です