2020年秋アニメ 第1話評価まとめ

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2020年10月〜12月期のアニメシリーズの各作品第1話だけの評価です。今回は13作品を紹介します。

致命的なネタバレみたいなものは避けてるので、まだ作品を見ていない方でも参考にして頂けると思います。

「名作アニメは第1話の時点で既に名作である」という持論があるので、この時点での評価がのちに急落することはあっても急騰することはないと思っています。もしあったらゴメンナサイします。

評価基準についてはこちらをご覧ください。MALはMyAnimeListの現時点のスコアと投票人数です。

ではいきましょー!

 

 

A ゴールデンカムイ (MAL: 8.25/3.1k)

 

野田サトルの漫画原作のアニメ化。2018年春に第1期、秋に第2期が放映され、第3期を迎えた今作。監督含め主要制作陣はほぼ続投。

個人的な今期大本命です。きっとこれまで通りの素晴らしい仕上がりになるでしょう。第1話も非常に面白かったです。

まだ見たことがない人には是非とも見てもらいたいですね。確かにこれまで作画やCGが若干怪しげなところはありましたが、とにかく演出と声が抜群に素晴らしいのでその点は確実に保証します。AmazonPrimeの第1期はこちら。海外在住の方には今のところクランチロールで無料配信されています。

 

 

A 体操ザムライ (MAL: 6.72/1.7k)

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MAPPA制作のオリジナルアニメ。シリーズ構成は『ゾンビランドサガ』の村越繁、キャラデザも同じくゾンサガの深川可純、監督は清水久敏。春アニメの『イエスタデイをうたって』と同じNUMAnimation枠で放映。

2002年の日本体操界で引退勧告を受けてしまった男のお話。第1話はとても面白かった、というか脚本の完成度の高さが目を引きますね。余分なセリフやカットがなく、説明不足な描写をちらほら混ぜつつも本筋が散らかることのないようにバランスが取れていて、かつその上で物語としてはどこへ向かうのか予測をつきにくくさせているという、ほぼ完璧と言えるほど素晴らしい脚本だったと思います。演出も良かったです。

声優陣も素晴らしいです。主人公城太郎の浪川大輔とその一家は全員素晴らしいのですが、娘役の本泉莉奈は特に注目です。僕は今まで名前を全然存じ上げなかったのですが、うまいですし声そのものも魅力的でいいですね。今後も非常に楽しみです。

 

オリジナル作品ということでそれほど注目されてない本作ですが、これは是非とも見るべきでしょうね。最後まで失速せずにクオリティを保ってくれそうな予感がありますので、とても楽しみです。

 

 

B+ 安達としまむら (MAL: 7.44/4.5k)

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原作未読。『電波女と青春男』の入間人間が2013年から連載している小説が原作。制作は手塚プロダクション、監督は『五等分の花嫁』の桑原智

授業をサボりがちな女子高生二人の人間関係を描くお話。第1話は良かったと思います。何か派手なドラマがあるわけでもなく起伏に欠ける印象を持たれるかもしれませんが、繊細な演出やモノローグのセリフまわしなどを打ち出していこうという企画意図はちゃんと伝えられたのではないでしょうか。

なんといっても音楽が素晴らしいですね。作曲陣は複数いるようです。楽器はピアノを中心として大編成でも派手でもないのですが、色彩豊かな曲想でとても効果的に使われているなという印象です。音楽だけでなく効果音・環境音が演出として実によく機能していて、音全般に対するこだわりが強く感じられるのがとても好印象です。

 

主役の声は今や人気声優の筆頭になりつつある鬼頭明里と、プリコネのコッコロで大人気の伊藤美来。キャラデザにとても合っていますし対比も取れているので、これは見事なキャスティングですね。二人とも演じ方の解像度が高くて、こういった作品にドンピシャという感じです。

不安要素があるとすれば作画面でしょうか。第1話からすでに若干怪しげな匂いを感じるので、これが今後どうなるか。個人的には本当に重要なカットさえ崩れなければそれでいいかなと思ってるのですが、まあでも出来れば単にクオリティというだけでなく、ちゃんと演技・演出を実現できてる作画を期待したいところですね。

 

 

B+ 呪術廻戦 (MAL: 8.18/28k)

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原作未読。芥見下々が2018年からジャンプで連載している漫画が原作。制作はMAPPA、シリーズ構成は瀬古浩司、キャラデザは『ユーリ!!! on ICE』総作監の平松禎史、監督は朴性厚

もともと人間離れしていた運動能力を持つ男子校生が妖怪を受肉するお話。作画面でのクオリティを見せつけるような第1話でした。特にアクションシーンはわざとカメラを動かしたりして難しい作画に挑んでるような印象を受けます。脚本・コンテも隙がなかったですね。

個人的には第1話の段階ではこの後の展開が楽しみな感じではなかったのですが、原作は評判いいみたいですしアクションを中心とした作画演出については期待がもてそうです。

 

 

B トニカクカワイイ (MAL: 7.78/16k)

 

 

原作未読。『ハヤテのごとく!』の畑健二郎が2018年からサンデーで連載している漫画が原作。制作は春アニメ『アルテ』のSeven Arcs、シリーズ構成と監督は『AKIBA’S TRIP』などでもコンビを組んでいた兵頭一歩博史池畠クランチロールオリジナルで海外向けに同サイトで無料配信されている。タイトルは TONIKAWA: Over The Moon For You

かつて一目惚れしたミステリアスな少女といきなり結婚することになりその生活を描くお話。一見するとのっぺりした安っぽい色彩設計の作画なんですが、動いているのを見ると悪くないというか、面白い手法ですねこれは。

ヒロインの声はこれまた鬼頭明里。ちょっと前に『虚構推理』で年下ヒロインをやってたと思いきや今回はお姉さんキャラです。こちらもキャラクターによくハマっていて、さすがの実力を感じさせます。まあ実は主人公より年下なんですけどね。

 

それにしてもこの後どう物語を展開させるのか。ただのイチャコラじゃなく、謎めいたヒロインの背景をうまくシナリオ的な面白さに繋げてくれることを期待しています。

 

 

B 神様になった日 (MAL: 7.65/7.5k)

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2010年『Angel Beats!』、2015年『Charlotte』に続くP.A.WORKS × 麻枝准のオリジナルアニメ。監督は前作と同じ浅井義之、またメインヒロインの声優も前作と同じ佐倉綾音

大学受験を控えた男の前に突然神を自称する少女が現れて、というお話。第1話から麻枝臭がプンプンでしたが、個人的には悪くない感触でした。むしろ前2作より第1話の出来は上々だったと思います。コンテの出来が良かったですね。

ヒロインの細々した動きもかわいらしく作画で表現されていますし、告白シーンの美術なんかも良かったです。こういうところはさすがPAの仕事という感じがします。

 

ここ最近は低迷が続いているPAにとっても気合の入った作品になるだろうと思われるので、僕は期待して見守ります。全然話題にはなっていませんが、前クールの『天晴爛漫!』も悪くなかったですよ。

 

 

B アクダマドライブ (MAL: 7.72/6.8k)

 

 

studioぴえろ制作のオリジナルアニメ。ストーリー原案とキャラクター原案はかつて『ダンガンロンパ』でタッグを組んでた小高和剛小松崎類、監督は田口智久

近未来的な舞台で暴れ回る犯罪者たちのお話。高品質なCGを活かした美術が目を引きますね。独特なキャラデザも世界観に合っていて良いと思います。

個人的には第1話の開始5分くらいまでは「おおこれは面白そうだ!」って結構盛り上がったんですが、その後は「ああこっちの方向へ行っちゃったか」と思って少しがっかりでした。とはいえ作画・美術面でのクオリティは期待できそうなので、まあ最後まで見ると思います。

 

主人公の声は黒沢ともよ、良いキャスティングだと思います。状況に振り回されてばかりのへっぽこ感みたいなのが上手ですね。一つ気になるのがセクシー女医役の緒方恵美、まあディレクションの問題だと思いますが、妙にわざとらしいというか鼻につく感じですね。第1話だけならいいんですが、今後もこの調子が続くとちょっと心配です。

シナリオは今のところそれほど期待がもてる感じではありませんが、オリジナル作品ならではの意外性が見られるといいですね。

 

 

B 憂国のモリアーティ (MAL: 7.61/4.5k)

 

 

原作未読。竹内良輔構成・三好輝作画で2016年からジャンプスクエアで連載している漫画が原作。制作はProduction I.G、監督は『ジョーカー・ゲーム』の野村和也

19世紀末のロンドンでクライムコンサルタント(犯罪相談役)を請け負う男のお話。作画・美術はクオリティが高いですね。OP明けの犯行シーンが時間稼ぎのコンテみたいで少しダルかったのですが、そこから先の演出は悪くなかったです。音楽の使い方も良かったです。

見る前はもっと女性向けの作風になってるのかと思ってたのですが、第1話を見る限りそんなこともなかったですね。サスペンスものが好きな男性諸君にも薦められそうです。

第2話の予告で主人公たちの過去が描かれていたので、面白くなるとしたらここからですね。果たしてどうなるか。

 

 

C 魔女の旅々 (MAL: 7.64/11k)

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原作未読。白石定規が2016年から連載している小説が原作。制作は去年春『ひとりぼっちの○○生活』のC2C、シリーズ構成は筆安一幸、監督は『はるかなレシーブ』の窪岡俊之

幼い頃からの憧れであった魔女になって世界を旅する少女のお話。第1話はプロローグを1話にぎゅっとまとめた感じでしたね。キャラデザはかわいらしくて良いと思います。

主人公イレイナのキャラクター設計が少し生意気で高慢な感じで賛否があるようですが、個人的には面白いと思っています。ただの善人で普通にお話を転がすだけなら退屈ですからね。難のあるキャラクターがどう変わっていくのか、あるいは変わらないのか、そして難があっても愛されるキャラクターにできるのか、こういう色々な楽しみがあっていいと思います。

 

むしろ問題は第1話の出来そのものじゃないでしょうか。プロットはこれでいいとしても脚本と演出は他にやりようがあったと思います。パッと思い浮かぶのはもうちょっとライトに仕上げる方向でしょうか。先生がちっとも魔法を教えてくれないくだりをもっとテンポよく、かつイレイナの苛立ちを感情的にコミカルに描く。そしてその最中にもう両親からの依頼だというのを先生の回想で視聴者にはバラしてしまう。で、先生の方も少し心が痛む描写を入れておく。

というのは、実際の本編ではその教えてくれないくだりを妙に深刻に描いていますが、その理由が僕にはちょっとわからないからです。イレイナの我慢を彼女の目線で描きたいのでしょうけど、先述した高慢な性格とちぐはぐでよくわからなくなっています。「ここを追い出されたら、いよいよ私を受け入れてくれる人はいなくなる」という恐怖心から我慢を強いられていると描写するなら深刻そうに演出するのもわかりますが、仮にそうだったとしてもライトに演出した方が収まりがいいと思いますけどね、個人的には。

先生の方は先生の方で平気のへーかと思ったら、試験終了後に泣き出すイレイナを見てオロオロしだすものだから、そこらへんもちぐはぐな印象を受けます。その泣き出してからのネタばらしまで一切音楽を使ってないわけですが、これは完全にサボりですね。演出ではなく音楽のつけ忘れにしか思えません。

 

そんな感じでせっかく素材は悪くないのにもったいないなという印象です。今後演出面で挽回してくれるのか、少し様子を見てみましょう。

 

 

C ひぐらしのなく頃に業 (MAL: 7.43/9.5k)

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原作未プレイ、ですが2006年の旧アニメ版と翌年の『解』は見ています。制作は冬アニメ『異種族レビュアーズ』のパッショーネ、監督は今期3作品も抱えている川口敬一郎

多くの人同様、「今更リメイクする必要あるのか、それともそれほどまでにネタがないのか」と僕も思っていたのですが、どうやら新規ストーリーで進めていくみたいですね。それならそれで、今になって復活させるに値するようなサプライズを期待したいところですがどうか。

キャラデザは今風になった、というか具体的に言えば9月から配信開始された(ソシャゲ仕様の)スマホゲーム版に準拠しています。まあつまり連動企画でアニメも作られたということなのでしょう。

 

声優陣は全員14年前と同じです。もともと全員実力派の人たちなので相変わらず同じ声を出せるのはすごいなと感心するのですが、それでもやはり一部は今だと厳しいなという印象は拭えませんね。個人的にはこういうリバイバル企画で昔の声優をそのまま引っ張ってくるのはあまり好きじゃありません。ただまあ今回に関しては一新するわけにもいかなかったでしょうから、仕方ないとは思います。

今後ほぼ間違いなくグロ描写が出てくるでしょうから、初見の方はご注意。それほどの期待はもてなかった第1話でしたが、多分最後まで見るとは思います。YU-NOアニメ化のようなリアル惨劇にならないことを願っています。

 

 

C 無能なナナ (MAL: 7.29/7.4k)

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原作未読。るーすぼーい原作・古屋庵作画で2016年からガンガンで連載している漫画が原作。制作はブリッジ、シリーズ構成は前期『放課後ていぼう日誌』の志茂文彦、監督は石平信司

能力者が集う学園を舞台にしたお話。ネタバレになるので過度には語りませんが、『がっこうぐらし!』と同じような、いわゆる第1話の最後で種明かしする系です。そういえば似たようなので『はいふり』なんてのもありましたね、苦い記憶ですが。

今挙げたタイトルで分かる通り、この系統は種明かしするまで茶番をやらなくちゃいけないわけですが、茶番を茶番のままやるのはそれこそ茶番なんですよね。ちゃんと茶番の中にも工夫を入れないと視聴者を繋ぎ止めることはできないでしょう。「よく見ろちゃんと伏線を張ってるじゃないか!」という話ではなく、根本的なアニメとしての演出の話です。

 

時代を感じるキャラデザはさておいて、作画面はぼちぼちといった感じでそれほどの期待はもてないでしょう。主役の大久保瑠美は良いキャスティングだと思います。この作品を成立させる上で大事な仕事を彼女ならしっかりこなしてくれるでしょう。

原作(企画)のアイデアそのものは悪くないと思うので、良い方向に期待を裏切ってくれることを願っています。

 

 

C おちこぼれフルーツタルト (MAL: 6.54/1.0k)

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原作未読。『ハナヤマタ』の浜弓場双が2015年からきららキャラットで連載している漫画が原作。制作はfeel.、監督は川口敬一郎

東小金井を舞台に売れない芸能人の少女たちがアイドル目指して奮闘するお話。よくも悪くもきらら枠らしい仕上がりの第1話でしたが、ハナヤマタっぽいキャラデザと作画は悪くなかったですし、主役の声優陣も皆良かったです。

個人的には続きが見たくなるような牽引力を感じなかったのですが、ニコニコで見てると「汚いハナヤマタ」とか「見る不健全」とか「おちちこぼれフルーツタルト」とかのコメントで溢れていたので、今後化けの皮が剥がれるなら面白そうですね。まあEDの段階で既に怪しげではありますが。

 

 

D 池袋ウエストゲートパーク (MAL: 6.68/4.0k)

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原作未読、ですが2000年に宮藤官九郎・堤幸彦コンビでドラマ化されたのは見ています。石田衣良が1997年から連載している小説が原作。制作は動画工房、監督は越田知明

まずは昔のドラマ版の話をしたいのですが、いやあれは本当に衝撃的でしたね。僕はその頃はむしろアニメなんてほとんど見ておらず(エヴァすら見てなかった)ドラマばっかり見ていたのですが、テレビドラマにおける演出の重要さというのを初めて知った作品でした。役者にしても素晴らしいキャストばかりで、今見ても全然色あせることのない作品だと思います。利権関係なのか古すぎるからなのか、残念ながらこれを配信してるサイトは今のところ一つもないようです。このアニメの影響でどっか配信してくれたらいいんですけどね。

 

なんと今回のアニメ版でキング役を演じる内山昂輝とかつてドラマ版でキングを演じた窪塚洋介対談記事がダヴィンチニュースに掲載されているのですが、これは必見ですよ。衝撃だったのはキングのキャラクターが窪塚本人の提案で堤幸彦の反対を押し切ってやったという、これには本当に驚きました。もし窪塚がそのまま素直に指示通りやってたら脚本も演出も全然違ったものになってたということを考えると、いや信じられないですね。そんなことがあるんですか。窪塚もすごいですし、それで路線変更したクドカンも堤幸彦もすごいですね。

まあとにかく、それもあってドラマ版は原作とは大きくかけ離れた作風になっていて、今回のアニメ化では原作に忠実な方向性でやろうと、そういうことのようですね。

 

それにしても、ですよ。これ今の段階でAmazonPrimeのレビューがちょうど100件あって評価が星二つなのですが、さもありなんですね。第1話を見る限り褒めるべき点は何一つないです。ああ女の子のキャラデザはかわいいですけどね。作画面はともかく、シナリオがこれで原作通りだというのなら原作があまりにつまらないという話になってしまうんですが、そこらへんはどうなんでしょうね。

一応3話ぐらいまでは様子を見ますが、あまりに改善の兆しがなければ中断すると思います。

 

 

以上! 13作品の紹介でした。

まあC以下の作品が結構あるので、最後まで完走するのはそんなに多くはなさそうです。しかし体操、神様、アクダマといったオリジナル作品が3つもあるのは嬉しいところですね。どれも楽しみです。

 

最近アニメレビュー記事をサボりまくっていたので久々に書いてみましたが、第1話レビューだけでも結構時間がかかるものですね。春・夏アニメの総評もやりたいのですが、まとまった時間がとれないと難しそうです。あまり期待せずにお待ちください。

いつも通り、ご意見は大歓迎です。「お前は全然わかってねーな!」というお叱りをお待ちしています。もちろん挙げた以外に面白い作品があればそれも教えてください。