2019年夏アニメ 総評

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2019年7月〜9月期のアニメシリーズの、最終的な総評と感想を述べていきます。

第1話時点での評価はこちら、また評価基準についてはこちらをご覧ください
MALはMyAnimeListの現時点のスコアと投票人数です。

 

以下、感想は完全にネタバレになるので、まず作品ごとの評価だけ紹介します。A評価以上のものは一度視聴してみるのを強く勧めますので、是非ご覧になってみてください。

今期最終評価はこちらです。

 

A

荒ぶる季節の乙女どもよ。
彼方のアストラ

B+

女子高生の無駄づかい

B

ダンベル何キロ持てる?
フルーツバスケット 1st season

D

この世の果てで恋を唄う少女YU-NO

 

そして2019年夏期ヒゲメガネボウズ賞は、

彼方のアストラ

です。

 

では各作品の詳細な感想を述べていきます。ネタバレ注意。

 

 

A 彼方のアストラ (MAL: 8.26/44k)

(企画・キャラデザ・作画・声:A

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今期の大賞作。良い点悪い点ありますが、それでも「最後まで見て良かったなと思える作品」でした。ベースは少年漫画らしい王道をゆく展開でありながら、よく練られた企画(原作)、ちゃんと引きを紡いでいくシリーズ構成、最後まで安定して高品質だった作画など、大賞にふさわしい仕上がりだったと思います。多くの人に勧めやすい作品ですし、実際に最後まで見てとても満足している感想が多いのも納得できます。以下は本当にネタバレ全開で詳細を話していくので、まだ見てない人はとりあえず第1話だけでも見てみてもらいたいですね。そこでよっぽど合わないと判断した人以外は、是非最後まで見るのを勧めます。では詳細な感想を。

 

まず良かった点で挙げるべきは、なんと言っても「欲張りすぎるほど詰め込まれた企画」ですね。少年少女漂流もの、さらにそのメンバーの中に犯人がいるサスペンス、クローン人間、(カドのような)特異的技術の誕生SF、歴史の改竄……この中の一つや二つでも十分企画になりうるところを、この作品では全部盛り込んで、それをちゃんとまとめあげるという、この企画力は脱帽ものです。

それでありながら、「SFらしさ」に拘泥するのではなく、信頼・家族・自己肯定といったような人間ドラマが常に中心にあるという、その「堅実な作り」が人気の秘訣なのでしょう。最終話も後半Bパートまるまる使ってエピローグを描いて爽やかに物語を終えるというのも、昨今逆に珍しい感じがします。円陣のシーン、「俺は、大将の腕に助けられたときだ」のところがクライマックスでしたね。あそこでED曲を流すというのも完璧な采配で、大変感動的なシーンになっていました。

 

キャラクターデザインも良かったですね。原作のデザインで十分魅力的なんですが、アニメ版はキャラクターの性質をもう少し強調したデザインで、目の描き方も瞳の色を明るめにして瞳孔の黒をパリっと際立たせる方向にしたのは良かったと思います。作画自体も、女性陣は表情豊かなキトリーやアリエスを中心にかわいらしく、男性陣はカナタを中心に緊迫感や逞しさを感じさせる良いカットがたくさんありました。この作品においてキャラデザに言及する人は多くないと思いますが、アニメ化にあたって相当良い仕事をしたなあと僕は思っています。

 

声も全体的に素晴らしかったですが、やはりMVPは第1話評でも挙げたカナタ(声:細谷佳正)とキトリー(声:黒沢ともよ)ですね。カナタは本当に良いキャスティングだったと思います。当初はもう少し地の声が高めの声優を選んでも良かったんじゃないかなと思ったこともあったのですが、回を重ねていくごとに彼の魅力がどんどん深まっていきました。必ずしも前向きなわけでもなく、必ずしも逆境に強いわけでもなく、ただ過去の苦い思いを二度としないように、努めてリーダーらしく振る舞おうとして、だからこそ皆から自然と慕われるような、「純粋で内省的な熱血野郎」としてのカナタを作り上げるような声だったと思います。

キトリーは感情の起伏が激しく、メンバー全員の感情をまず代弁する役割でもあり、その面では演じるのが大変なキャラだったわけですが、確かにもともと本人と相性の良いキャラだったとは思いますが、それだけではない随所に良い仕事が光っていましたね。やはりハイライトは第7話、8話で、コールドスリープを提案された後の返答や、プロポーズの夫婦漫才などは実に良かったですね。

 

「デ、タ」

ここすき。いや本当にハマってたキャラですよ。個人的にはユーフォの久美子宝石のフォスと引けをとらないぐらい、彼女の代表作と言っていいと思っています。

そして音楽も良かったですね。第1話から繰り返し使われているメインテーマとそのアレンジはもちろん、第5話冒頭のようなエレクトロポップ風の音楽もまた魅力的でした。音楽の使い方も全体的な作風にとても合っていて、音響面でもこの作品のクオリティを下支えしていましたね。

 

さてここからは良くなかった点・疑問点についてです。そもそもの話になってしまいますが、王道というのは紋切り型と常に表裏一体で、見ている側にとって最終的にどちらの印象が強く残るのかは非常にブレが大きい、つまり見る人次第になりやすいものです。原作を読んでみないとはっきりとしたことは言えませんが、おそらく原作者にとって一番大切なのは「最後まで安心して作品を追ってもらいたい」ということなのだと思います。隠された設定が次々と明らかになっていく中でも、作品に漂う空気を最初から最後まで常に保って期待を裏切らないようにする。ギャグの挟み方なんかもその意思の表れだと思います。

なのでそれにハマる人も当然いるとは思いますが、脚本そのものは僕としては物足りなかったです。その「ヌルさ」に対する最大の抵抗がカナタの腕の喪失で、それについては先述した円陣のシーンとの合わせ技もあって良いと思います。あとは第5話で心配するアリエスの母の場面の直後に南国の場面を繋いだり、ポリーナの初登場前にザックのコールドスリープの提案の場面を用意したりと、うまく出来てるなと思う箇所もありましたが、それ以外は概ね平凡な印象を免れないです。特にユンファ関連がもう少しなんとかならんかったのかと思いますね。第4話は彼女の当番回でしたが結構無理のある活躍のさせ方で、カナタの「発症してない俺に資格がない」という件りも結構無茶したなという感じで、このエピソードが良くなかったですね。イメチェンして美少女に変身させたりラストに歌わせたりするためのキャラクターなわけですが、設定はもう少し工夫が欲しかったです。

 

そして、冒頭で「欲張りな企画」を肯定的に評価したわけですが、それと同時にやりすぎというのも確かです。歴史の改竄のために「言語と国家の統一」や「宗教の消滅」を盛り込んだわけですが、これは無茶が過ぎると思いますね。気になるのは各人物の名前で、シャルス(Charce Lacroix)はフランス系、ルカ(Luca Esposito)はイタリア系、ウルガー(Ulgar Zweig)はドイツ系、カナタ(Kanata Hoshijima)は日本系と、わざと国籍をバラしたのは何故なんでしょうね。ここまで露骨に名前に国籍がこびりついていながら言語や国家が消滅したという設定にしたのは、作者の意図がよくわかりません。スペルがそのままで読み方だけが英語風になってるとかなら面白いですけどね。「神という概念の消失」もほぼ本筋に関係ないように思うので、なんでそんな無茶をしようとしたのかわからないです。

それと、「ワームホールの発明」と「その小型化・可携帯化」というのはかなり技術的な開きがあるように思うのですが、それが当然のように一続きで語られるのも違和感があります。仮にそれを無視したとしても、そんなとんでもない技術が一つの目的のために使われ続けて、その後あっさりそれを手放すというのは都合が良過ぎると思いますね。あとは法で禁じられただけで移住世代が揃いも揃って口をつぐんだというのもそう。記憶移植の技術があるなら、その展開系として記憶の抹消やら書き換えみたいなことでもして、物理的に口をつぐませるという方がまだ説得力があると思います。

 

まとめになりますが、この物語における「SF性」というのは作者の実現したかったことの一部でしかなく、それ以上に描きたかったものがあることは先述した通りです。なので僕としては、原作の壮大な企画とそれを高品質でアニメ化し、シリーズ構成もうまくまとめている点を評価し、今期の大賞作に決めました。機会があれば原作も読んでみようと思います。

 

 

A 荒ぶる季節の乙女どもよ。 (MAL: 7.77/45k)

(企画・脚本・コンテ演出・音楽・声:A

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——ここでは今、10個のおっぱいが揺れてる。ちっちゃいの、おっきいの、揺れて、ぶつかりあって、そんでもって、楽しい!

 

素晴らしい作品、そしてアニメ化でした。大賞はアストラにしたものの、脚本・演出の出来だけだったらこちらの方が優れていると僕は思います。セリフまわし、場面構成、テーマ性、どれをとっても隙がなく、さすが岡田麿里といったところ。

この作品、泉が好きな電車が重要なモチーフで、最終話で本郷先輩も言っていた通り「一度動き出したら止まらないもの」の象徴になってるわけですが、第1話ラストで和紗が橋の上から見送るしか出来なかったトンネル(未知の世界)へ入っていく電車を、最終話のラストでは自分が泉と共に電車に乗ってそのトンネルへ入っていくという、これぞ脚本のお手本のような見事な終わらせ方でしたね。何が素晴らしいかというと、これ見よがしに伏線っぽく描いていないところです。最終回がなくたって、第1話の段階であのシーンとセリフは既に面白くて、そこで十分役割を果たしていたと思われていたものを最後に活かしていくというのが、優れた脚本の証だと僕は思うのです。

 

原作との違いについては全部語り尽くしたいところなんですが、重要な一点だけ。それは菅原氏の演出です。第1話で既にティーカップの中の紅茶に映る菅原氏のカットがあるのですが、これは原作にはありません。そして第2話の川に映る菅原氏、第5話でジュースに映る菅原氏、とここまで挙げれば十分わかる通り、アニメでは「」を菅原氏の演出モチーフにしています。「自分を真正面から見つめようとしないこと」や「かわいいことを自覚しながらも、どこかそれを空虚に思っている(水面に映る自分に恋したナルキッソスの裏返し?)」ことの象徴だと思うのですが、それが第8話で泉をからかった後で動揺してトイレに駆け込んで、いよいよ正面から自分を見つめざるを得なくなって本物の鏡を見てしまう、という風にうまく繋がっています。これはお手本のような見事なアニメの演出だと思います。

 

もったいなかったのは第5話。この回は作画が全体的に甘くて、三枝の初登場だったのに全然雰囲気が出ていなかったですし、彼の変態性が作画で表現されていないと面白みが一気になくなってしまうので、とても残念でした。この回で離れてしまった人も一定数いると思うので、ここは本当にもったいなかったなと思いますね。あとは冒頭で引用した10個のおっぱいのモノローグですが、これも微妙に原作と違っています。僕は原作版のセリフの方が良いと思うのですが、どうして変えてしまったんでしょうね。気になる方は原作第4巻を読みましょう。(宣伝部長)

 

それと、本郷先輩を演じる黒沢ともよですが、彼女のキャスティングとディレクションに関しては最後まで見てもやはり疑問が残ります。アストラのキトリーが彼女の素に近い声だったのに対し、こちらは第1話から「作ってる」声で演じていました。特に感情の起伏がない脇役だったらいいんですが、結局泣いたり叫んだりすると素の声になりますし、最後までその作った声と演技プランがうまく噛み合わずに終わってしまったように僕は感じました。ひょっとしたら音響監督は「そのギャップこそが本郷先輩というキャラを表現している」と考えたのかもしれませんが、そうだとしても賛同は出来ません。「ギャグ演出でない限りキャラクター固有の声域(表現域)をみだりにはみ出すべきではない」のがアニメの原則で、本郷先輩はその原則から外れていますし、例外的な魅力があるかといえば僕はそうは思わないので、今回のキャスティング・ディレクションについてはもっと良い選択肢があったのではないでしょうか。

一方で和紗を演じる河野ひよりは大変素晴らしかったです。第1話からとても良かったですが、動揺したり空回りしたり震えるような声の調子がとても繊細で表情豊かで、第6話の不器用な朗読劇や第7話のおっぱい語りや第9話の浮かれた調子なんかも良かったです。本当に将来が楽しみな新人ですね。泉(声:土屋神葉)も幼さや純粋さが見事に声で表現されて良かったですし、菅原氏(声:安済知佳)も後半にいくにつれてだんだんと演技が難しくなっていきましたが、これも良かったですねえ。先ほども挙げた第8話で泉をからかおうとしたら自分が恥ずかしくなってしまって、やかんを「はい」と渡すシーン、菅原氏がこれまで一度も人前で晒したことがないんじゃないかという素の声が思わず出てしまったかのような動揺を、たった一言で見事に表現していました。とにかく声は全体的にレベルが高かったです。先の本郷先輩にしても、演技そのものは良かったですからね。

 

音楽もまた素晴らしくて、僕の今期ベスト劇伴です。もっとコメディ色を前面に出してシリアスシーンとの対比をバリッとつける方針もあったかと思うのですが、今作のような色彩豊かで繊細な音楽がこのアニメ独特の不思議な魅力を生み出しています。第7話なんかは新曲も多くてクライマックスの挿入歌もとても良い演出で、音楽面でもシリーズ中で最高の出来でしたね。そんな感じで音楽の使い方もほとんど文句はないのですが、唯一、第11話の全校集会のシーンだけは、んー他に選択肢がなかったかなと思いました。あそこは戯画的というか、ありがちな展開をギャグめいて描いているのに対して音楽は深刻な雰囲気で、まあバランスが難しいところではあるのですが他のプランを検討したくなる場面ではありました。

 

こうして振り返ってみるとやはり素晴らしいアニメ化で、アストラと甲乙つけがたいですね本当に。そしてアニメだけでなくて、是非また岡田×絵本コンビで新たな漫画の企画を実現させてほしいです。

あと、この作品の英語翻訳を分析した記事もあるので、気になる方はどうぞ。

『荒ぶる季節』の英語翻訳はどうよ。 その1
現在放送中の『荒ぶる季節の乙女どもよ。』は僕が今期一番楽しみにしている作品なのですが、第1話評価で書いた通り、この作品の外国語翻訳はちょっと難しそうで興味があるので、実際に英語翻訳を見て味わってみようというのが今回の趣旨です。 以前にも同じ...

 

 

B+ 女子高生の無駄づかい (MAL: 7.77/15k)

(OP・コンテ演出・声:A

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お前第1話評価でこれ挙げてなかっただろ」というのは確かにそうなんですが、当初第1話を見た印象はそれほど良くはなかったので、まあ2、3話くらいで中断するだろうなと思ってたんですよ。なので書かなくてもいいかと思ってたら、その後どんどん面白くなっていって、気がつけば今期で一番楽しみにしていた作品になっていましたね。尻上がりに良くなっていくシリーズアニメは久しぶりでした。

概要としては、もともとニコニコ静画に投稿されていた漫画作品が2015年から商業化され、ついにアニメ化に至ったというもの。原作者ビーノ、アニメ制作はパッショーネ、同社で多くの作品を手がけている高橋丈夫が総監督。

 

この作品の魅力を言葉にするのは難しいのですが、僕が好きな点を一つずつ挙げていこうと思います。

まずは主人公、バカ(声:赤﨑千夏)のキャラクター造形。これはいわゆる「女の子日常系ギャグ作品」という括りになるかと思いますが、ほとんどの日常系作品が女の子の可愛さを優先するあまりキャラクター造形がヌルくなるのに対し、このバカは普通に見ててドン引きするような行動や言動が多く描かれています。これは良いですね。まあそれが上滑りしてるところもあるので全部褒められるわけではないのですが、赤﨑千夏の声がこの微妙なバランスの上に成り立ってるキャラクターを上手く愛されるような方向へ持って行ってると思います。

キャスティングとディレクションは共に素晴らしいです。本当にキャスト全員ちゃんとハマってて甲乙つけがたいのですが、それでもやはりロリ(声:長縄まりあ)とヤマイ(声:富田美憂)は特によかったです。ワセダ(声:興津和幸)も後半にいくにつれ良くなっていきましたね。第10話だけのゲストキャラ高橋(声:松岡禎丞)も良かったです。これぞ松岡禎丞の一番正しい使い方というのが実現できていましたね。しかしなんと言ってもMVPはヲタですよ。声は戸松遥、僕が言うまでもなく既に実力派で知られていますが、今作は本当に素晴らしかった。普段のツッコミ役も良いですが、年頃の女の子らしい気だるげな表情や、ヲタモードに入ったときの暴走声は見事でした。最終話のヲタ豚の迫真の鳴き声も良かったですね。音響監督はお馴染みの明田川仁、さすがの仕事っぷりです。

ちょっとシリアスというか、「いい話」っぽいエピソードが後半は特に多くなってきますが、その中でも織り交ぜられるギャグとのバランスもまたこの作品の大きな魅力の一つです。第11話はその代表例で、先述したヲタの声も相まって完成度の高いエピソードでした。

 

それとオープニングですね。初見のときはそれほど引っかからなかったのですが、2度3度聴いていくと、いやこれは面白いなと思い始めました。何が良いかというと、これは「作詞作曲が同じ人でなければ絶対に作れない曲」なんですよね。もちろん作詞作曲を一人でやってる曲は世に山ほどあるのですが、それらはほぼ全て「作詞」と「作曲」という分業を一人でやってるだけとも言えるわけです。しかしこのオープニング曲はその二つを同時に(実作業としてかはともかく、少なくとも構想の中で)行わなければ作り得ない曲なんです。ナンセンスな言葉遊びもこの作品をよく表していて、アニソンとしての完成度が高いなと感心するばかりです。作曲は山崎真吾、今回初めて注目した作曲家ですが、アニソンを多く手がけている人なので、これからいくつか分析してみたいと思います。

 

ここまで言うならA評価でもいいんじゃないかと、いや実際僕もかなり迷うところなのですが、やはり第1話があまり面白くない、特にワセダなんかはこの段階ではその魅力が全然発揮されていませんからね。これがとても勿体無いのと、ギャグそのものだけを切り取るとさほど面白くはないという点が大きいでしょうか。ただ、コンテがダルくなる場面は全体通してほとんどなかったので、その点はとても好感が持てます。

なので、僕としては「まず3話まで見てもらいたい」という作品です。もっと言えば、冒頭の画像は第7話「やまい」の回で、これが僕が一番好きなエピソードなので、ここまで見ても面白くなければもう僕の負けです。この回は特殊EDの気合の入った回でギャグも面白いのですが、なにより話の転がし方というか、組み立てがすごくうまく出来ているなあと感心した回でもあります。是非ご覧あれ。

 

 

B ダンベル何キロ持てる? (MAL: 7.58/45k)

(企画・OP:S、声:A

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作画面でのクオリティは最後までしっかり維持していましたが、コンテ・演出にもう一工夫欲しかった感じでしたね。最終話の無茶苦茶なEDの入れ方なんかは良かったです。

第1話評でも語った通り、僕にとってのこのアニメはファイルーズあいの魅力をひたすら味わうだけの作品でした。第3話、チートデイと称してファミレスに行くエピソード、原作ではこのようになってます。

 

 

この文字では書き起こせない箇所を、アニメ版で彼女は「ア゜———~~~~」と表現していたのですが、いや本当に素晴らしかったですね。これ台本がそもそもどうなってたのか、彼女がアドリブでやったのか、現場で指示があったのか、収録の実態がとても気になります。ただ第7話でもう一回同じことをやらせてるあたり、監督は相当気に入ってたのではないかと思います。ちなみに同じ7話の「一生食えるなこれ」も原作にないので、アドリブにしろ脚本アレンジにしろ、良い仕事でしたね。

とにかく企画が素晴らしいアニメ化でした。今後もファイルーズあいの活躍を期待しています。

 

 

B フルーツバスケット 1st season (MAL: 8.32/54k)

(キャラデザ・作画:A

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最後まできっちりクオリティを保って終えましたね、素晴らしいことです。画像は魚ちゃん回での中学時代の透くんですが、とても可愛らしくていいですね。この回での魚ちゃん(声:種﨑敦美)と今日子さん(声:沢城みゆき)のやり取りは色々な意味で胸が熱くなるものがありました。

さてフルバにあまり興味のない人でも是非見てもらいたいものがあって、それは2001年版と今回のリメイクの比較動画です。これを見れば、この20年でアニメの作画・美術がどれだけ変わったか、だけでなく今回のリメイクにどれだけ気合が入っているか、そして前作アニメと原作をどのようにリスペクトし、どのように演出の手間を加えているか、色々と発見があって大変面白いです。複数人が同じ趣旨で動画をあげていますが、オススメはYoshikoお姉さんですね。彼女の溢れ出るMy boy Hatsuharuへの魂の叫びと共に比較を楽しむことができます。「Fruits basket comparison」あたりで検索するとよいでしょう。

 

1点気になるのは、第19話。利津が屋根に登って飛び降りようとする場面、2001年版では足を滑らせるものの自分で危機を回避したところを、今回のリメイクでは透が説得しに屋根にのぼって行ってます。原作がどちらなのかはわかりませんが、いずれにしろ今回のリメイク版だと透が足を滑らせてるときに、なんで由希も夾も突っ立って見てるんだよって話です。二人がすぐに下まで駆け寄る演出ぐらい入れてもいいんじゃないのと思いますね。

やはりエピソードによっては「これリメイクしてまでやる必要あるのかな」と思うところも少なくないのですが、同時にむしろ今の時代だからこそ透というキャラクターは新鮮で、求められているものかもしれないとも思います。まあとにかくフルバはここからが本番で僕も内容を知らないので、次のシーズンを楽しみにしています。

 

 

D この世の果てで恋を唄う少女YU-NO (MAL: 6.72/14k)

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以前これについての単独記事を書いたので、先にそちらをご覧ください。

今期アニメ『YU-NO』と、偉大なる作曲家 梅本竜
本来はもちろん『YU-NO』も第1話評価まとめで感想を書いていたのですが、あまりにもここだけ文量が多くなってしまって、まとめ記事としてはバランスを欠いてしまうのでこれだけ別記事にすることにしました。アニメ本編以外で書かなくちゃいけないことが...

 

一言で言えば見る価値も語る価値もない作品でした。僕みたいな義務を背負ってる人間以外は人生の貴重な時間を無駄にする必要はないでしょう。唯一の楽しみだった梅本アレンジ曲も後半はめっきり登場が少なくなっていたので、特に異世界編からは見るのがただの苦行でしかなかったですね。異世界行って最初のエピソードであの名曲を使わないのって何考えてるんでしょうね本当に。まあ何も考えていないのでしょう。

作画や美術はさほど高品質ではなかったとはいえ、それでも現場が最後まで頑張っていたのは十分伝わってきました。結局アニメーターの仕事というのも、この作品のように企画の段階で既に死んでいるものに付き合わされるのが大部分なわけで、それに対する憐憫の気持ちしか僕には残りませんでした。まあそれは声優も同じですね。

とにかく今回のアニメ化で『YU-NO』という作品の評価は地に落ちて、かつて原作をプレイした人たちの声は二度と世に届くことは無くなりました。そのことを製作陣がどう思っているのか、訊いてみたいものです。

 

 

以上です。

今回は取り上げた作品が少ない分、濃密になってしまいました。まあでも満遍なく無難に語るよりこちらの方が面白いと思うんですけどね。Dr. Stoneヴィンランドサガはまだ見ていますが、特に途中経過をあげたくなる感じでもないので、次クールのときに総評をまとめようと思います。

 

いつも通り、ご意見は大歓迎です

 

2019年夏アニメ 第1話評価まとめ
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