2019年春アニメ 第1話評価まとめ

2019年4月〜6月期のアニメシリーズの各作品第1話だけの評価です。今回は9作品を紹介します。

本来は冬アニメの総括を先にやらないといけないのですが、緊急性の高いこちらを先に書くことにしました。決して文量が多くなりそうで逃げてるわけではありません。ほんとほんと。トラストミー

 

大きなネタバレみたいなものは避けてるので、まだ作品を見ていない方でも参考にして頂けると思います。

「名作アニメは第1話の時点で既に名作である」という持論があるので、この時点での評価がのちに急落することはあっても急騰することはないと思っています。もしあったらゴメンナサイします。

評価基準についてはこちらをご覧ください。MALはMyAnimeListの現時点のスコアと投票人数です。

ではいきましょー!

 

 

 

A+ さらざんまい (MAL: 7.30/2.8k)

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見よ、これが幾原邦彦だ!

イクニの愛称で知られる幾原邦彦は、『少女革命ウテナ』で耽美派として有名になったアニメ監督です。その後しばらくアニメシリーズの監督は務めていなかったのですが、2011年の『輪るピングドラム』で復帰し、2015年に『ユリ熊嵐』も監督しました。これらのタイトルだけでも相当に強烈な作家性が窺えます。

今作はノイタミナ枠のオリジナルアニメの企画で、これまでの作品で見られたようなピクトグラムの演出や彩度の高い背景美術など、一目見ただけでイクニ作品だとわかります。前期ノイタミナが『約束のネバーランド』であると考えると相当な落差で皆驚いたでしょうね。

 

とにかく「まずは1話を見てくれ」としか言いようがありません。そして脱落しても仕方ありません。わけがわからないし、きわどいネタもあるので。ただし「雰囲気だけのキワモノアニメ」でないことだけは断言できます。幾原監督はこれまでのどの作品も「愛と欲望」についてのテーマを深く扱ってきましたし、この作品でも1話だけで既にそれがよく現れています。現代人の欲望の象徴をAmazonの段ボール箱に見出すのもさすがの鋭い視点です。

そして音楽です。ピンドラ、ユリクマでもコンビを組んできた橋本由香利が今作も担当するのですが、非常に素晴らしいです。後半部の人力車で走り出すところからの映像と音楽の組み合わせは鳥肌モノですね。のちに紹介する音楽がテーマの作品よりもこちらの方が音楽的魅力に溢れています。

 

どう転ぶかはわかりませんが、少なくとも今期で一番「語りがいのある」作品になることは間違いないでしょう。MALの評価が低いのは僕にとってはむしろ小気味いいですね。海外のお子様方にはちょっと早すぎる作品ですから。

まずは一度ご覧あれ。

 

 

B+ 鬼滅の刃 (MAL: 8.28/17k)

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原作未読。おそらく誰が見ても質の高さを実感できる第1話でしょう。

作画、美術、音楽、いずれも今期最高クラスの品質です。制作はufotable、僕にとっては「Fate作ってるところ」というイメージしかないのですが、そのFate含め安定して高品質の作品を送り出している、評判の高い制作会社ですね。会社そのものは最近何かと黒い噂がつきまとっていますが。音楽もまたufotableといえばお馴染みの梶浦由記、今回も彼女らしい個性がよく出た劇伴になっています。

 

普通はこのクオリティだったらA以上は間違いないのですが、ちょっと引っかかる点が多いです。

まず音楽の使い方。冒頭で主人公のナレーションが不穏な感じになるのに合わせて音楽も露骨に変わるのですが、これはちょっとやりすぎですね。それと中盤で妹が涙を流すシーンでこれも露骨にそれっぽい劇伴を合わせているのですが、前後のつながりがなく無理な感じで、これもよくない。ここはもっと表情が曖昧な音楽を使うか、いっそ音楽なしでもいいくらいです。

 

それと脚本の問題。第1話があそこで終わる以外の選択肢はないでしょうから難しいんですが、それでもぎっちり詰め込んだなという印象をモロに与えるのはなんとか避けたいところですね。原作の忠実さを多少損ねても、主人公の説明台詞や独白をもっと整理すべきだったと思います。

そして冨岡(声:櫻井孝宏)が急にキレるシーンですが、これもワンクッション欲しい。原作を知らないのでわかりませんが、おそらくキレた理由は、過去の自分自身か他の誰かを土下座する炭治郎に重ね合わせたからだと思うのですが、それをちゃんとカットインさせるべきでしょう。あるいはちょっとした心の声でもいいんですが。とにかくキレるのが急すぎて、見てる方が「え?」って戸惑って感情移入を妨げることになってしまってるので、何か処置を施すべきでしたね。漫画のコマのつながりでは自然に見えても、アニメにすると不自然になることなんてざらにあるので、今後も臨機応変に対応していかないと演出の穴をいたずらに増やすことになってしまうでしょう。

 

全体的に「言わせたい台詞」や「やりたい流れ」は理解できるのですが、それがきちんと整理されていない、というのが主な感想ですね。せっかく品質の高い制作ができるのですから、それをしっかり活かしてもらいたいです。

 

 

B+ キャロル&チューズデイ (MAL: 8.26/4.5k)

 

 

BONESの20周年企画のオリジナルアニメです。ボンズの古い作品なら『WOLF’S RAIN』や『DARKER THAN BLACK』など好きなのも多いのですが、ここ最近は僕にとって当たりの作品がありません。『モブサイコ100』は評判いいので見たいと思っていますが。

音楽プロデビューを目指す二人の少女の物語。今作第1話のクオリティはとても高いです。脚本もよく練られていますし、作画・美術もとても高品質です。じゃあなんでAじゃないのかというと、火星を舞台にする必要性をまだ感じられないのと、シリーズ構成と肝心の音楽が「結局凡庸なもの」に終わってしまう予感があるからです。色んな苦労があったけど、無事にデビューできてめでたしめでたし、みたいな。あと近未来のデバイスばかりの中でスマートフォンだけ今時のものと大して変わらないのとかインスタグラムという単語をそのまま出してくるのも多少引っかかります。

 

主役の二人が歌うときは声優ではなく英語の歌手を用意してるわけですが、まあおそらく最終回でもその代役の彼女らに英語で歌わせるのでしょうけれど、それで日本人の視聴者にウケるものが作れるのかどうか。ただのオシャレくさいアニメで終わらないことを期待します。

 

 

B フルーツバスケット 1st season (MAL: 8.07/9.5k)

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原作未読。前作のアニメは見ています。まあ随分前なので記憶は薄れていますが。

フルーツバスケット』原作は2006年に完結しましたが、最初のアニメ化は2001年だったので、もちろんアニメ本編は完結させることが出来ませんでした。詳細はWikipediaにある通りなのですが、少し引用すると、

 

ストーリー構成や各種設定に関して原作者である高屋奈月はアニメ版のシナリオに関わろうとしていたが、製作側の「自由に作らせて欲しい」との断りが尊重されたと大地丙太郎の著書には記されている。最終回はアニメ放送当時、原作が完結していなかったため、アニメ版独自の結末となっている。
監督の大地丙太郎は、本作の続編を求めるファンの声に対して「フルバのアニメの続きは作れないのです。それは岡崎律子さんはじめ、あの時にスタッフ全員、全力を出し切ってしまったから。でも、今、思った。こういう風に言われ続けるのは、我々の落ち度でした。半端な作り方をしてしまったのでしょう。ごめんなさい。それでも、続きは作れません」と答えている[4]

 

ここの監督の発言は2013年のものなので、「今なら続きを作って完結させられるでしょう」という声に対しての返事ということです。この態度は非常に誠実だと思います。そしてなにより岡崎律子の存在が大きすぎたのです。

僕と同様、2001年版のアニメの細かい内容を覚えてない人でも、オープニングだけは絶対に忘れられないでしょう。もちろん音楽そのものが素晴らしいのは言うまでもないのですが、タイトルが「For フルーツバスケット」となっているだけあって、まさしくこの作品の内容にぴったり沿うように彼女が作詞作曲したので、作品を知ってからこの曲を聴くとそれだけで涙が出てくるという人が今もたくさんいるはずです。曲についての単独記事もあります。

 

他の誰にも代えの利かない稀有な存在であった岡崎律子は、2004年に亡くなりました。

僕が初めて彼女を知ったのがその年に発売された『シンフォニック=レイン』だったので、あまりにも急すぎる訃報にひどく動転しました。彼女の歌声と音楽にすっかり魅了された、その直後でしたから。

そういうことがあっての、先ほどの監督の言葉なのです。続編が作れないということを、誰が責めることができましょうか。

 

しかし今になって続編、ではなく新規に一からアニメを作り直すことが決まったわけです。一体どういうことなのか、公式HPに原作者のコメントが載っているのでご覧ください。一応少しだけ引用すると、

 

ですので、一番最初にいくつかの要望をだしました。
その中のひとつは、すべて新しいメンバーで作ってください。です。
すべて。すべてをです。
閉じた幕をもう一度開けたいというのならば、新しく、新しいすべてで世界を再構築してくださいと。
もうひとつは、絵を私の絵に寄せないでくれ。ということ。
これはもう単純に私の絵は古いし、病気をした事もとても大きいですが(詳しいことは愛蔵版のあとがきに書いたので良かったら)絵のブレが酷かったので、それも新しく再構築してほしかったのです。

 

これも本当に素晴らしい判断だと思います。リメイクのときに全てを一新するという判断とその実行がどれだけ大変なことか。それでも大きすぎる喪失の後でまた同じプロジェクトを動かそうとするなら、これしかないと確信があったのでしょう。

 

さて、ようやく本編の話題です。キャラクターデザインは確かに現代風に変えていますが、目のデザインなど面影を微かに感じさせるような良いアレンジだと思います。オープニング、エンディングだけは前作と比較することがどうしてもできませんが、劇伴は今作の方がずっと出来が良いと思います。作風として音楽を多用することになると思うので、今後も高品質な劇伴を期待したいですね。

前作との違いでまず大きいのは草摩由希の声です。前作の声優は久川綾で、女性よりの中性的な声だったのが今作では島﨑信長、男性を起用しています。これがどう響いてくるかはこれから先を見届けましょう。今のところ僕としては好印象です。

その草摩由希を過剰に王子様然として描きすぎないのも良いアレンジだと思います。ここらへんが非常に難しいんですよね。キャラクターデザインは今風に変えることは比較的簡単でも、セリフや話のテンポ、いわゆるノリみたいなものは時代の影響がモロに出るところなので、この扱いが難しい。これをそぎ落としてしまうと作品のイメージがあまりに変わってしまうし、かと言ってそのまま残すと古臭くなってしまう。このバランスをどうとっていくのか、大きな課題の一つですね。

 

声優陣は全体的に素晴らしいです。主役・本田透の石見舞菜香はまだとても若いながら実力は十分です。声質も演技も非常にキャラクターに合っていて良いですね。ちなみに前期『revisions』にも出演していました。友人・魚谷ありさが種﨑敦美僕が今一番好きな声優です。最近すっかり売れっ子になってしまいましたが、それも納得の本格実力派です。今作でも早速活躍していて嬉しいです。透の母・今日子が沢城みゆき、最近はわからないですが、少なくとも5、6年前までなら最も実力のある声優だと僕は思っています。先ほどの種﨑敦美や今をときめく悠木碧が、憧れる声優に彼女の名前を挙げるのも当然のことでしょう。一時期は明らかに別格だなと感じるほど凄まじい演技をしていました。今作も彼女の得意なハスキーボイスを活かせるハマり役で、とてもいい感じです。

 

この作品だけでえらい長くなってしまいました。まあとにかく、凝っているわけではありませんが、しかし丁寧に作られているのが好印象で、比較的誰にでも薦めやすい作品です。ただ完結させるつもりなら相当長くなるでしょうから、最後までクオリティを保てるのかが心配ですね。

 

(岡崎律子の曲を紹介したいのですがリンクを直接貼ることはできません。Youtubeで「for fruits basket」あたりで検索すると聴けると思います。いわゆる「歌ってみた」系と間違えないようにご注意ください)

 

 

C この世の果てで恋を唄う少女YU-NO (MAL: 6.43/3.2k)

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ここだけあまりに文章が長くなったので別記事にしました。こちらからご覧ください

 

 

 

以下の4作品は完走する前に中断する可能性が高いものです。

 

C ぼくたちは勉強ができない (MAL: 7.20/6.9k)

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原作未読。実にわかりやすいジャンプラブコメです。

全体の品質はそこそこ良いのですが、なにしろ「これから先良い方向で期待が裏切られることはないだろう」という確信が非常に強くあるので、おそらく途中で視聴中断すると思います。

声優陣は良いんですけどね。文乃役(画像右)が白石晴香、『ゴールデンカムイ』でアシリパ役を務めていました。普通に声を聞いてる分には全く気づかなかったです、すごいですね。理珠役(画像左)の富田美憂と、もう一人のヒロインうるか役の鈴代紗弓、この二人は前期『荒野のコトブキ飛行隊』でそれぞれチカキリエ役で共演しています。もちろんコトブキでの二人は素晴らしかったですが、今作でもコテコテではありますが可愛らしい演技で良い感じです。

そんなわけで応援したい気持ちはあるのですが、その気持ちをもってしても耐え難いとなったら中断せざるを得ません。前期の『五等分の花嫁』も見ませんでしたし、単に僕の趣味ではないというだけのことです。

 

 

C MIX (MAL: 7.10/0.7k)

 

 

原作未読。あの『タッチ』から30年後を描いた作品。

夕方枠のアニメらしい、良く言えば健全な、悪く言えばヌルいアニメスタイルです。ナレーションが登場人物にツッコミを入れるというメタっぽいギャグスタイル、あれ漫画だったらあだち充っぽくていいんですが、アニメでやられるとちょっと寒いですね。

作品ごとの見分けがつかないことで定評のあるあだちヒロイン、今回は実妹かつ義理の妹という設定です。声は内田真礼、前期は『約束のネバーランド』のノーマン役が大変素晴らしかったですね。

 

あだち充の最新作のスタイルが知りたいという興味はあるのですが、あんまりヌルい調子が続くようだとやっぱり漫画読むか、となってしまいそうです。作画のクオリティは高いんですけどね。

 

 

D この音とまれ! (MAL: 7.29/3.0k)

 

 

原作未読。和楽器の「箏」の部活動という珍しいテーマの作品。

第1話の展開はよくあるものなのですが、自分がまず思い起こしたのは『メジャー』の中学生編ですね。ほぼそっくりの展開です。メジャーの方は山根の過去の話とつながっていますし、その後の三人の更生もあるので嫌いじゃないですが、こちらは残念ながら「劣化版」と言っても差し支えないでしょう。

おそらく原作通りなのでしょうけれど、それでもアニメの第1話で箏の音を一切出さないって、よく企画としてそれが許容されたものだなと思ってしまいます。普通は原作と違っていてもなんとかして箏の音をまず聴かせようとすると思うんですが。逆に敢えてそれをしない、という強い意志の表れだったらそれでもいいんですが、全然勝負強さを感じるような作りにもなっていません。

全体の品質は悪くはないですが良くもなく。これといった見所もないです。

 

ただWikipediaを見ていると、原作者が箏曲家の一家の生まれで、「いつか箏を題材にした漫画を描きたい」と思って漫画家になったとあるので、それは非常に興味ありますね。漫画の方だときっと描写も細かいのでしょう。それがアニメで活かされるといいんですが。

 

これと同じく特殊な部活動モノとして思い起こしたのが『ちはやふる』です。つい見返したくなって第1話を見たのですが、ほんっとに良くできてますね。アニメの第1話として完璧と言えるほどの完成度です。原作漫画からして好きなのですが、アニメも実に実に素晴らしい出来なので、是非見てみるのを勧めます。実写版は知りません

 

 

D Fairy gone フェアリーゴーン (MAL: 6.55/6.8k)

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2014年の『SHIROBAKO』が最後の輝きとなって久しいP.A.WORKSのオリジナルアニメ。ファンタジー要素のある戦記物… かなと思ったのですが、戦後を舞台にしただけで戦記物ではないのかもしれません。

脚本・コンテがなかなかひどい1話でしたね。後半まで見てみないとわからない、とかではなくこの時点で明らかに無駄だとわかる台詞まわしやカットが多すぎます。Bパート中盤でマーリアの回想の中でいきなり雪の中置き去りにされるところや、その後マーリアが突然ヴェロニカの説得にまわるところなど、かなり無理のあるつなぎになっています。これは省略とは呼びません、破綻です。

作画もキメの静止画以外は結構怪しいです。挿入歌のシーンの競歩が早速ネタにされていますね。

 

シリーズ構成・脚本がラノベ作家の人で今回が初のアニメ参加らしいのですが、今のところそれが裏目に出る予感しかありません。PAは応援したい気持ちがあるのですが、ここ数年の凋落ぶりを見ているとなかなか… そういえば忘れていましたが2年前に『有頂天家族』の2期をやっていましたね。あれは本当にいい作品でした、おすすめです。

 

 

 

以上! 9作品の紹介でした。

長い記事書くことから逃げたはずなのに結局長くなっているという。YU-NOの分を含めてたら過去最長を記録するほどの文量になってますよ… まあ今回は仕方ないです。

あとは『進撃の巨人』がまだ始まっていないのですが、そちらも見る予定です。

前期と同様、また1ヶ月後以内に途中経過をあげます。

 

いつものことですが、ご意見は大歓迎です。「お前は全然わかってねーな!」というお叱りをお待ちしています。もちろん挙げた以外に面白い作品があればそれも教えてください。