僕が好きなアニメOP・ED集 その4

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ここ最近はすっかりアニメ評の記事をサボりまくってるわけですが、それはさておき僕のお気に入りのアニメオープニング・エンディングを紹介するこのコーナー。前回はこちら。

僕が好きなアニメOP・ED集 その3
第1回の記事から既に1年が経過していて驚愕したこのコーナー、アニメオープニング・エンディング特集第3弾です。前回はこちら。前回の宣言通り、今回も引き続きMONACA特集、というより田中秀和特集です。田中秀和は2010年からMONACAに入社...

 

今回はエンディング特集です。

一般的にシリーズアニメのEDというのは、OPに比べて簡素な作りになっていることが多いです。理由としては、OPというのは「作品の顔」としてのプロモーションの役割もあるため、動きの多い凝った作画をしたり細かいカットを挟んだりして視聴者の興味をまず引くように作られることが多いです。なのでリソースの比重としてはEDよりもOPの方に多く割きたいところ。

そしてもう一つ大きいのがスタッフクレジットです。OPで表示されるクレジットは主要スタッフだけなので大した量ではありません。なので第1回で紹介した石浜真史のような手法が使えたりするわけですが、一方でEDではその話数に関わった人全員をクレジットしなければならないので、その量はOPの何倍も多いわけです。凝った映像を作ってもクレジットで邪魔をするくらいなら、ということでEDは静止画だけで作られることも多いです。まあ京アニ作品のような、EDだろうがお構いなしにゴリゴリ動かすものもあったりしますが。

 

「だったらEDはOPよりつまらないんじゃないか」となるところですが、実はそんなこともないのです。映像がさほど動かない分、曲をじっくり聴かせるチャンスであるとも言えるわけで、OPテーマ曲よりもEDテーマ曲の方に力点を置いてる作品も珍しくありません。また当然のことではありますが、EDは話数ごとの終わりで流れるものなので、視聴後の気分を大きく左右するものでもあります。その作品を通じてどういう気分になってもらいたいのか、という監督・演出家の思いが込められているわけですね。

というわけで、一般的にはOPよりも語られにくいEDの世界を紹介していきます。今回は少し幅広い年代のものを取り上げますので、新しいものから古いもの順で並べていきます。

 

 

まずは現在放映中の最新作、『シャドーハウス』より「ないない」

 

ここ最近のEDの中では個人的に一番のヒットです。まず曲そのものが良いですね。1分30秒の完成度がとても高いです。Aメロでは歌詞が日本語にも関わらず英語のRの発音のようなくぐもった歌い方をしてるのが目立ちますね。最初聴いたときは「なんだかな」と思ったりしたのですが、その後Bメロに入って伴奏ががらりと変わるその開放感の演出になってるんですねこれが。なるほどこれは面白いやり方だなと感心しました。

そして映像もまた素晴らしい。全体的にカロリー少なめの簡素な作りながら音楽との取り合わせ方が見事です。冒頭の鐘の音と汽車をリンクさせてるのも良いですし、なんと言ってもサビ前の連続カットが実に効果的ですね。ED演出は昨年秋『アクダマドライブ』監督の田口智久。今後も注目していきたい演出家ですね。

 

 

続いて2017年の『少女終末旅行』より「More One Night」

 

 

このEDは漫画原作者のつくみず自身による手描きアニメです。例えば昨年の『波よ聞いてくれ』や一昨年の『映像研には手を出すな!』のように、漫画原作者自身の静止画や簡単な動画を使うことはあったりしますが、アニメーション全部を描くのは大変珍しい……というか他にあるんですかね。まあとにかく非常に素晴らしい出来です。

これも曲がかなり好きですね。水瀬いのりの歌声とも非常にマッチしています。歌詞そのものもメロディーの乗せ方もとても「通りが良い」と言いますか、初めて聴いても全部スっと頭に入ってくるのが良い仕事してる感じですね。サビの部分なんかはかなり凝った声のハモらせ方をしてますし、それ以外もかなり芸の細かい曲作りしてるなあと思います。

 

 

続いて2014年の『ウィッチクラフトワークス』より「ウィッチ☆アクティビティ」

 

ED演出は作品監督でもある水島努。SDキャラが歌いながら魔女狩りに登場する様々な拷問器具にかけられていくという、いかにもな水島努好みが現れてますね。でもやはりシンプルながら可愛らしく動かすやり方はさすがです。

曲の方もなんだか不思議な魅力がありますね。イントロの点描的なピアノから始まり、その後もベースやハーモニー音は点描的に鳴らしてて統一感があります。普通の曲っぽいのはBメロだけで、それ以外は旋法風のメロディーラインでこれまた特徴的ですね。よくよく考えてみればアニソン以外でこういう曲調や構造のものもなかなか作りにくいわけで、こういうのもアニソンならではの魅力と言えるでしょうね。

 

 

続いて2013年の『凪のあすから』より2クール目ED「三つ葉の結びめ」

 

 

仮に僕以外のアニメファンが同じようにアニメED特集をやったとしても、これを選ぶ人はほぼいないと思います。選ぶとしても1クール目EDの「アクアテラリウム」の方でしょうね。もちろんそちらも素晴らしいEDテーマなんですが。

映像としては静止画を多少ズーム・パンしてるだけで、アニメEDとして最小限のものでしかありません。しかし、まず曲が素晴らしい。初見の人でも「ああ良い曲だな」くらいには思うでしょうけれど、これは本編のEDに使われてこそその真価を発揮する、まさに「アニメEDの魔法」の最たる例だなと個人的に思っています。

僕はこの『凪のあすから』という作品がものすごく好きでして、この放映当時には1話ごとにクソ長い感想文を友人にメールで送りつけていたほど入れ込んでいました。この作品、第1話からすでに面白いのですが、第2クールに入るとガラリと雰囲気が変わるんですね。このEDテーマはその急転換の象徴でもあるのです。そして話数が進んでいくごとに歌詞の重みが少しずつ理解できるようになり、またこの少女がなぜ一人ぼっちで、なぜ顔を見せないのか、それがだんだんとわかるような作りになっているんです。本編を見た後だとサビの「結んで」というロングトーンが本当に胸を打つんです。これこそアニメEDの真骨頂でしょう。

 

本当はブログを始めた当初からこの『凪のあすから』の特集記事を一度は書きたいなと思っていたんです。世間的にも十分評価の高い作品だと思いますが、一方で「ご都合主義だ」なんていう無理解の意見も少なくないので、それに対するきちんとした説明もしなきゃいけないなという思いもありますしね。ただやっぱり思い入れがあまりに強い作品なので、なかなか腰をあげられずにいるわけです。2年後には10周年を迎えるので、それまでにはなんとか書きたいですね。生きてたら

とにかくこれは是非とも見ていただきたい作品です。「人を好きになること」というテーマをここまで真正面から、またここまで大きなスケールで描いたアニメは他にないと僕個人は思っています。dアニメAmazonPrimeでどうぞ。

 

 

さてED紹介の方に戻りましょう。次は2012年の『人類は衰退しました』より「ユメのなかノわたしのユメ」。niconico版はこちら

 

凄まじい名曲。これだけで十分でしょう。初見のときに「うわすげえ曲がきた!」とニヤニヤしっぱなしだったのを今でも覚えています。伊藤真澄は僕の大好きな作曲家ですが、このゴリゴリに転調していく展開は彼女の十八番って感じですね。

世間的にはOPのダンス映像の方が圧倒的に人気だと思いますが、僕はなんと言ってもこのEDの方に惹かれますね。先ほどの『凪あす』では本編との合わせ技について語ったわけですが、こちらはむしろ逆で、本編の雰囲気とは距離のある映像と音楽でまとめてるわけです。これもまた「アニメEDの魔法」の一側面なんです。必ずしも本編に沿った方向性でなければいけないというわけではなく、変化球で攻めてみるのもまた面白いんですね。

テレビドラマが好きな人には『女王の教室』のエンディングが良い例でしょうか。あれも初見だとぎょっとするというか、「マジかよ(笑)」ってなるでしょう。でもあれも見事な取り合わせと言えるわけです。エンディングの世界の奥深さ、なんとなく伝わってきたのではないでしょうか。

 

 

続いて2011年の『日常』より「Zzz」

 

これもまた名曲ですね。作曲者のヒャダインはOPテーマのようなアップテンポで緩急つける曲調のイメージが強いですが、この曲のようなかっちりしたものも仕上げられるのはさすがといった感じですね。

アニメEDにおいて「寂寥感」というのは非常に重要な要素の一つです。特にこの『日常』のようなギャグ作品のEDでは「ああ、楽しい時間が終わってしまったな」というクールダウンを設けることで視聴者の心のバランスがとれるわけですね。

 

今書いててふっと思い浮かんだことなんですが、『こち亀』のOP曲の中でも僕が圧倒的に好きなのは「葛飾ラプソディー」なんですが、あれこそむしろED風の寂寥感にぴったりですよね。勢いのあるギャグの後であれが流れると想像すると完璧な取り合わせだなと思います。あとはポケモンの「ニャースのうた」Youtube)とか、クレヨンしんちゃんの「月灯りふんわり落ちてくる夜」Youtube)とか、やはりアニメの名作EDには寂寥感が欠かせませんね。いかんいかん、昔話に花が咲き過ぎてしまいました。時を戻そう