2019年秋アニメ 第1話評価まとめ

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2019年10月〜12月期のアニメシリーズの各作品第1話だけの評価です。今回は7作品を紹介します。

大きなネタバレみたいなものは避けてるので、まだ作品を見ていない方でも参考にして頂けると思います。

「名作アニメは第1話の時点で既に名作である」という持論があるので、この時点での評価がのちに急落することはあっても急騰することはないと思っています。もしあったらゴメンナサイします。

評価基準についてはこちらをご覧ください。MALはMyAnimeListの現時点のスコアと投票人数です。

ではいきましょー!

 

 

A+ BEASTARS (MAL: 7.89/6.7k)

 

原作未読。2016年から連載されている板垣巴留の漫画が原作。2017年に初の単独元請け作品『宝石の国』で衝撃をもたらしたオレンジによるCGアニメーションで制作、監督は宝石でも演出を務めた松見真一

擬人化された動物たちの学園生活を描くお話。第1話は今期の中で圧倒的に面白いですね。オレンジが『宝石』の次に何を作るのかは密かに楽しみにしていたのですが、「こうきたか!」と膝を打ってしまいました。この時点で企画としてはS確定です。

そしてこの難しい企画を高品質で実現できる制作力。『宝石』でもCGの技術力だけじゃなく、それを活かしたコンテやレイアウトが素晴らしかったのですが、今作でも第1話ですでに面白い。画面分割の演出や、背景にポスターや張り紙を多く使ってるのが良いですよね。

 

主役レゴシの声が『ゴールデンカムイ』の杉元でお馴染みの小林親弘。いやー本当に良い役者ですね彼は。杉元とは全然違うキャラクターなのですが、どこか抜けてるような、すっとぼけたような声の調子が独特でとても面白い。素晴らしいキャスティングだと思います。

音楽は神前暁。これも驚きました。名前を出されなかったら彼だとは絶対に気づかないです。非常に幅広い技術力を持ってる人だとは知っていましたが、こんなこともできるんだなと感嘆しました。今のところ音楽が前面に出てきて目立つようなものではないのですが、コンテに見事にハマっていて、理想的な劇伴に仕上がっています。スタッフクレジットに音響監督がなかったのですが、公式ツイッターによると監督自身が音響監督も務めているようです。いや大したものですね。音楽の使い方もボイスディレクションも、とても良いですよ。

 

現時点でもう今期の大賞が決まったなというくらい、素晴らしいクオリティでした。これは是非見るべきですね。ネット配信はNetflixの独占配信です。

 

A ちはやふる3 (MAL: 8.43/1.4k)

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原作既読。これまでのアニメシリーズも全て見ています。制作マッドハウス、監督浅香守生は今回も続投。
原作自体が非常に面白いのは確かですが、第1期、第2期ともにとても恵まれたアニメ化で、いずれも僕はA+評価をしています。見たことない方はこれを機に是非最初から見てみてほしいですね。

第1話を見る限り今期もこれまで同様期待できそうな感じでしたが、1点だけ。主人公ちはやたちの師匠である原田先生の声優は石塚運昇さんが担当していたのですが、昨年亡くなられたので、今期は三宅健太が引き継いでやっています。石塚さんの原田先生は本当に素晴らしくて、軽妙でありながら慈愛と情熱に溢れたキャラクターを見事に演じていました。原田先生はただのサブキャラにとどまらず非常に重要な人物で、原作既読の身からすると今後ものすごい見せ場が来るのを知っているので、それは是非とも石塚さんにやっていただきたかったというのが本音です。

僕は三宅さんを『パンプキン・シザーズ』の頃から知っていて声優としてはすごく好きなのですが、これを引き継ぐというのは誰であっても非常に難しい仕事です。もちろんその大役を応援していますが、石塚さんの素晴らしい仕事を知るという意味でも、是非第1期第2期を見てもらいたいですね。

 

A 星合の空 (MAL: 7.86/3.8k)

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エイトビット制作のオリジナルアニメ。原作・監督・脚本はサンライズ出身の赤根和樹

強豪女子ソフトテニス部のある学校の、弱小男子ソフトテニス部のお話。作画の品質が高くて、キャラクターデザインも僕はとても好きですね。第1話の冒頭を見ただけでも、期待したくなる感じがあります。「第1話で主役の片親の男子中学生が料理をしているシーン」というのはなんだか『凪のあすから』を思い出しますね。

第1話を最後まで見れば、このアニメが単なるスポーツものではなく何をやろうとしてるのかがわかると思いますが、その「暗い影」が見る人を選ぶかもしれません。ただその重い、暗い感じを、キャラクターデザインと作画のかわいらしさでバランスを取ろうとしているところは僕は良いと思っています。『メイドインアビス』がぷにぷにのキャラデザで描かれるのと似ています。

それと、第2話で初めてED映像が流れるのですが、その担当が以前好きなOPED集で紹介した江畑諒真なんですね。映像自体はさすがのクオリティで面白いのですが、現在そのダンスの振り付けに関して色々とモメています。制作のつまらない不手際でこういうミソがついてしまうのは本当に残念でなりませんね。

男子部員たちのキャラが今後立ってくるのかどうか、ここが肝になってくるでしょう。今のところは若干の不安がありますが、全体としては期待値高めで今後も楽しく追えそうです。

 

B+ バビロン (MAL: 7.69/4.3k)

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原作未読。あのカドの脚本を担当した野崎まどの小説が原作。制作はREVOROOT、監督は鈴木清崇

サイコパスと並ぶ今期のサスペンス枠。東京地検の検察官が、当初は単なる薬機法違反かと思われていた事件の底知れぬ闇を追及していくお話。第1話は導入として悪くない出来でした。舞台は日本ですが、「第2の東京」という設定が興味を引きますね。これが今後どう活かされるのか。

企画というより脚本がダレるような不安は多少ありますが、それなりに期待できそうな雰囲気はあります。ただそれはカドでもまったく同じだったので、どう転ぶかはわかりません。トラウマが大きすぎる。

 

B 放課後さいころ倶楽部 (MAL: 6.46/2.6k)

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原作未読。2013年から連載している中道裕大の漫画が原作。制作はライデンフィルム、監督は今泉賢一

ドイツ製ボードゲームを中心としたアナログゲームを題材にした珍しい作品。キャラクターデザインは良く出来てると思いますし、作画も丁寧です。作風やストーリーラインは「日常もの」の範疇内からはみ出ず、意外性のある描写や展開はほとんど期待できないのですが、題材そのものが僕好みなので、多分最後まで視聴すると思います。今期は本数も少ないですしね。

ドイツ製ボードゲームはたくさん知ってるわけではありませんが、僕は大好きです。僕はiPhoneを3GSの頃から使っていたのですが、当時は今みたいなスマホゲーが乱立するような状況では全然なかったので、海外メーカー制作の、あまりスペックが高くなくても問題ないようなゲームアプリをよく遊んでましたね。そういう状況にボードゲームアプリというのはまさにぴったりで、当時は特にカタンカルカソンヌにハマってオンラインで世界中の人たちと対戦していました。その後バックギャモンにハマってからはドイツ製の大きめの専用ボードも買いました。やっぱりボードゲームは楽しいですよね。将来家庭を持つようになって、子供たちとボードゲームで一緒に遊ぶなんてのは素敵ですが夢のまた夢ですねえ。

 

C PSYCHO-PASS サイコパス 3 (MAL: 7.80/1.5k)

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Production I.G制作のオリジナルアニメ。これまでのシリーズは視聴済み。主要スタッフは監督含めほぼ2期からの続投。

名作だった第1期からどうしようもない第2期が生まれたこのシリーズ(サイコパスフレンズとでも呼べばいいのか)。第1話は1時間の特別版でしたが、今期も期待はできそうにない感じでした。これは第2期と似た印象で、何が悪いかと言うと(新規の)キャラクター設計と脚本そのものが面白くないんですよね。第1期は企画そのものの規模と緻密さは言うまでもないんですが、各話の脚本、そしてキャラクター設計がとても良かったのです。執行官それぞれが魅力的に描かれて、セリフのやりとりそのものが練られてて面白い。そうした「エンタメとしての楽しさ」があるからこそ、作品全体に広がる複雑で難解なテーマへと踏み込む意欲が湧いてくるのです。

今期は主要キャラクターをほぼ一新したわけですが、今後各キャラにスポットが当たっていったとしても、魅力的な掘り下げはできなさそうな予感をひしひしと感じます。主役の彼はメンタルトレースという名の某サイコメトラーみたいな超能力を使うわけですが、これをやるんだったら新規企画でやったほうが良かったんじゃないですかね。昨今の攻殻機動隊もそうですが、過去の遺産を食いつぶすだけの企画は見ていて悲しくなりますね。

 

C Fairy gone フェアリーゴーン (MAL: 5.97/20k)

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P.A.WORKSのオリジナルアニメの分割2クール目。前期が終わったあとで『Fairy gone フェアリーゴーン』はなぜ失敗したのかという記事を書きましたので、興味があればご覧ください。記事内の誤りやこのエピソードで判明したことなどがあるので加筆修正しておきました。

『Fairy gone フェアリーゴーン』はなぜ失敗したのか
2019年春アニメ『Fairy gone フェアリーゴーン』の前半クールが終わりました。後半は10月の秋クールから再開するようです。 タイトルの通りこの作品は視聴者の反応・評価としても、実際の作品の出来としても失敗したと断言して良いでしょう...

 

さて、前期のボロボロだった第1話に比べれば単話エピソードとしてはそれなりにまとまってるスタートでしたね。絵コンテが許琮という方なのですが、僕が前々から注目している人で、過去のPAの面白くない作品でも彼が担当しているエピソードは完成度が高いなと思うことがしばしばありました。是非出世して大きな仕事をしてみてほしいですね。

ただ「今更やるエピソードなのか」というそもそものツッコミや、レイドーンの「やれ!」というセリフの表情が変わってしまっているなど怪しい点があるのも事実です。最後のヴェロニカのセリフもあれは口に出す必要なかったんじゃないですかね。

音楽も歌ものじゃなければなかなか悪くないです。ただOPEDに関しては前期同様それほど魅力的ではありませんね。まああれだけ長々と記事を書いたぐらいですから、一応最後まで追うつもりではいます。

 

それと、前期を見ていない人向けに公式で総集編「1話でわかるフェアリーゴーン」が公開されているので、興味ある方は見てみては。この冒頭でマーリヤが「私が生まれる前、統歴481年に」と語り始めるのですが、ちょっと笑ってしまいました。まさかあの記事が製作陣に見つかったんじゃなかろうな。それにしてもシリーズ全12話を追うよりこちらのほうがわかりやすいというのは喜ぶべきなのかどうか。そしてこの総集編でも誤字をしてしまうというのがとてもこのアニメらしいところです。

 

 

以上! 7作品の紹介でした。

なんでこんなに見る本数が少ないのかと言うと、これまでの第1話評を見ていただければ、僕がどういう基準で第1話見る・見ないを決めているのか大体察しがつくと思うのですが、その基準に当てはめると今期は本当に少ないんですよね。まあでも本数が少ないのは良いことです。真面目に生きよという天の思し召しでしょう。

前期は帰省やら旅行やらがあって途中経過をあげれなかったのですが、今期はやろうと思っています。その前に前期の総評を書かないといけないんですけどね……

いつものことですが、ご意見は大歓迎です。「お前は全然わかってねーな!」というお叱りをお待ちしています。もちろん挙げた以外に面白い作品があればそれも教えてください。