『荒ぶる季節』の英語翻訳はどうよ。 その2

スポンサーリンク

前回から長らく間が空いてしまってすみません。『荒ぶる季節の乙女どもよ。』の英語翻訳を味わおうのコーナーです。第1回はこちら。

『荒ぶる季節』の英語翻訳はどうよ。 その1
現在放送中の『荒ぶる季節の乙女どもよ。』は僕が今期一番楽しみにしている作品なのですが、第1話評価で書いた通り、この作品の外国語翻訳はちょっと難しそうで興味があるので、実際に英語翻訳を見て味わってみようというのが今回の趣旨です。 以前に...

 

前回同様、ライブリアクション動画の字幕を参照しながら検証していきます。

まずは第2話、「えすいばつ “Es Ee Ecks” 」から。
男に絡まれてる菅原氏が、和紗をダシにして逃れようとする場面。

菅原氏「ねえ、私の代わりにあの子どう? ウチらの中で超エグいって有名で……」

«So, how about her instead of me? She’s the biggest slut in our little group…»

slutは尻軽女、俗っぽい言い方をするとヤリマンってことですね。我々はそろそろビッチ以外の表現を身につけることも大事でしょう。

その後菅原氏から「で、この間の男どうだった?」と訊かれた和紗、事前の打ち合わせ通りのセリフで一発かまします。

 

 

和紗「股がかゆい!」

«My crotch is so itchy!»

ここリアクションでみんな大爆笑してました。性病ネタに国境はありませんね。

その後難を逃れ公園で話す和紗と菅原氏。先ほどの撃退法は劇団で教わったものだと明かされます。

 

 

「股がかゆい」のお手本を見せる菅原氏。ここ可愛くてすきです。

 

その後和紗が家に帰ると、泉と遭遇してしまう。泉に「忘れてくれないか」と言われ、「努力する」と答えつつ、その後風呂に入っているときに「泉の方が、私よりずっと恥ずかしかったはずなんだ」と気づく。

 

 

和紗(だって、私だってもし見られたら……)
和紗(どっちを隠せばいいの? 今の私は、顔を隠したい……)

«I mean, if he walked in on me…»
«Which part should I cover? Right now, I want to cover my face…»

ここのセリフ運びは本当に見事です。walk in on Aは、「人がAの部屋に入って出くわし、その結果Aに気まずい思いをさせる」という、まさにこの場面にぴったりのイディオムです。

 

翌日、曾根崎先輩から「セックスという言い方は直接的で生々しすぎる。私たちの間だけで通じる新しい表現を各自10個ずつ考えましょう」と提案を受ける。和紗たちは困惑するが、きっと本郷先輩なら何か良いアイデアを思いつくだろうと他力本願な様子。

その後曾根崎先輩、体育の授業の跳び箱で失敗し、股間を痛打する。その際にクラスメイトのギャル(十条)から「処女膜破けたんじゃね?」とからかわれ、泣きながらトイレへ。しかし「確認のしようがない……」と落胆し、水飲み場で顔を洗っているところへ、クラスメイトの男子天城がやってくる。メガネをはずしている曾根崎先輩を初めて見た天城は「やっぱり曾根崎さんかわいいよ」と言うと、照れた曾根崎先輩はホースで水をかけながら「あっち行け! 失せろ! 去ね!」と叫ぶが、それに対して、

 

 

天城「これ、第三者から見ると、きっと結構青春っぽいぜ!」

«If someone saw us, they’d definitely think we were flirting with each other.»

flirt withで「いちゃつく、たわむれる」の意。青春というニュアンスとは微妙に外れますが、まあいいんじゃないでしょうか。

 

やり返された曾根崎先輩は走って逃げる。そしてついに「セックスに代わる新たな表現」の発表会が始まります。ここが英語翻訳的には第2話で一番のハイライトですね。

 

 

もーちん「下ネタおやじギャグの発表会みたくなってきたね」
曾根崎先輩「サクセス?」
本郷先輩「性交で成功」

«This is turning into a presentation on dirty puns.»
«What about “success”?»
«Success, suck-sex.»

suck-sexはお見事です。日本語のダジャレ(pun)をうまく英語に落とし込みましたね。suckは「吸う」、転じてフェラチオの意。

ちなみに一番ウケてたのは性戦(Holey War)です。holeyはholeの形容詞化で「穴の多い」という意。これと聖戦(Holy War)をかけてるわけですね。発音もまったく一緒です。これもお見事。日本語的には「さすまた」が一番面白いと思うのですが、これはGetting Speared(突かれる)になっていました。まあここはしょうがない。

 

「これではダメだ!」と怒る曾根崎先輩の案は、

 

 

「性的愚者の怨嗟と罰(The Suffering of Erotic Experience)」です。英訳は結構意味合いが変わってる気がしますが、これはこの後の伏線です。「ちょっと長くない?」とツッコまれ、和紗が「ローマ字で頭文字をとったら」と提案し、「良いアイデアね」と採用する曾根崎先輩。ここですでに笑っているライブリアクションの面々。

 

曾根崎先輩「性的でS。怨嗟はE。あとは罰だから……」
もーちん「いっそバッテン!」

«That’s an S for “Suffering,” an E for “Erotic,” then for “Experience”…»
«Let’s just use X!»

そしてボードに刻まれるSEXの文字。ペンを膝でへし折る曾根崎先輩。この一連の流れもうまいことやってますね。

 

この後一年生3人組が廊下を歩いていると、泉がクラスの女の子とただならぬ雰囲気でいるところを目撃。二人がどこかへ行こうとするのを狼狽えながら見ている和紗に、菅原氏が「私が見てきてあげる」と言い、菅原氏がカメラでその様子を撮影、それをリアルタイムで自分のスマホで和紗が確認するという流れに。

裏庭へ行った二人。女の子の告白を断った泉。スマホで見ていた和紗が一安心するも、「今好きな人いないんでしょ? だったらずっと待ってるから、考えてほしい」と言われた泉が「うん、わかった」と答えてしまう。女の子が去った後で泉が撮影している菅原氏を発見、近づいて問い詰めようとしたところで和紗が割って入る。口論の最中で和紗はついに、

和紗「それって……やっぱり泉は、あ、アレがしたいから、ってこと?」
「アレってなんだよ」

«Is it… Because you… w-want to do that with them, then?»
«Do WHAT with them?»

ここでherではなくthemになってるのは、その前に和紗が「泉は告白されれば誰とでも付き合うの?」という言い方をしてるので、それを受けての代名詞です。その後頭の中でSEXの文字がぐるぐるしている和紗が言い放ったのが、

 

 

和紗「えすいばつ!!」

«Es-ee-ecks!»

まあこの記事の冒頭で既にネタバレになっていましたが、「えすいばつ」をこのように訳したわけですね。確かにこれ以外やりようがなかったかなという気がします。ちなみにフランス語版では «Es Ii Cross!» になっていました、これも悪くないですね。まあでも英語のCrossだとまず十字を思い浮かべてしまうということを考慮してやめた可能性もあります。「SE†」こうなっちゃうからですね。

 

翌日このエピソードを聞いた曾根崎先輩が「素晴らしい!」と称賛。「えすいばつ」を新たな呼称にすることを決定。その後いろいろあって、一年生3人組が夕暮れの川べりで話す場面。菅原氏に、「和紗は誰としたい?」と訊かれ、「したくなんてないよ!」と返すと、「じゃあ誰かとどうしてもしなくちゃ地球が滅びるとしたら?」とまた訊かれる。すると「泉」と意外にも即答する和紗。「それって典元くんのことが好きってことじゃないの?」と言われ、ハっとする和紗

 

 

和紗「どうしよう……私、泉が好きだよ……」

«Oh, no… I’m in love with Izumi…»

音楽の力も相まって、非常に感動的なシーンになっています。ここで第2話終了。続いて第3話へ。