『荒ぶる季節』の英語翻訳はどうよ。 その2

スポンサーリンク

第3話「バスガス爆発 “Willy’s Real Rear Wheel” 」

菅原氏が自分を教室から無理やり連れ出した泉をたしなめると素直に謝ったので、「へえ、意外」と反応。

菅原氏「もっと空気読めない人かと思った」

«I thought you were slower on the uptake.»

quick [slow] on the uptakeで「飲み込みが早い(遅い)」の意。ここでの空気読めないというのは「人の機微を読み取れない」という文脈ではないので、こういう風に言った方がわかりやすいでしょう。ちなみにこの後の菅原氏の「感情と性欲は別だもんね」が最終話の伏線になっていますね。

 

場面変わって、泉の部屋にケチャップを取りに来た和紗。「となりのポポロ」のパッケージの中にエロブルーレイが入ってることを知らずに開けてしまい、さらにそれを泉にバレないように自室へ持って行ってしまう。「どうして持って来ちゃったんだろう!」と言いつつ開けた中身は、

 

 

タイトルは「通勤バスで終点までイカされて(The Wheels on the Cummuter Bus Go “Oh year, Harder!”)」です。commuteが「通勤・通学する」なので、本来通勤バスはCommuter Busなのですが、cum(イく、絶頂する)を引っ掛けてCummuterにしているというダジャレです。ここもうまいことやってますね。そしてタイトルの頭にあるWheelsが今回のサブタイトルに繋がるもので、ラストへの伏線になっています。

そして一気に飛んでその終盤。泉の部屋にこっそりブルーレイを返しに行った和紗がタイトルの「通勤バス」に気づいて、「泉、本当に乗り物が好きなんだなあ」とほっこりする場面。ここの脚本のぶっ飛び具合は本当に素晴らしいですね。

 

 

和紗(えっちぃけど、素敵なDVDを選んだね、泉)
「それ、ブルーレイ」

«It might be a porn DVD, but you chose a nice one.»
«It’s a Blu-ray.»

ここは和紗の心のセリフに対して泉がツッコむという、まあちょっとした脚本の遊び心なんですが、英訳の方もmy Blu-rayではなくa Blu-rayとすることで、その遊び心のニュアンスを入れているのだと思います。第2話の終盤で校長先生が「却下します」と割って入る場面、あれも同じく脚本の遊びですね。

 

この後、泉の「和紗とこれっぽっちもしたいと思わない」にショックを受けて、泣きながら部屋を飛び出す和紗。追いかける泉と階段でもつれあって転げ落ち、折り重なるようにして倒れる二人。ここで泉の鎖骨のカットを入れるのが素晴らしいですよね。慌てて起き上がって弁解する泉に対し、

 

 

和紗「バスガス爆発って言って」

«Say “Willy’s Real Rear Wheel.”»

和紗がこの早口言葉を選んだのはもちろん泉のブルーレイのタイトルから引っ張ってきたものなので、英訳でもそれが伝わるように、先ほどのタイトルの頭にWheelsをつけた、という流れなんですね。これは英語の有名な早口言葉です。確かに言うのが難しい。

 

これで第3話終了。続いて第4話とばして第5話「私を知らぬ間に変えたもの “Things that changed before we knew it”」

終盤、天城の書いてきた「告白レポート」を添削して返す曾根崎先輩。たくさんの赤ペン修正が入ってる中、最後に書かれていた「俺と付き合ってください」のとなりに、

 

 

本当に日本語の「よろしく」は便利すぎて翻訳が難しいのですが、ここはどう処理したか。

If you would be so kind.

これは良いですね。「や、優しくしなさいよね」的なツンデレ風味がある、良い表現だと思います。

 

続いて第6話とばして第7話「揺れ、の、その先 “Jiggling, Then, After”」

冒頭でミロ先生に迫る本郷先輩。

 

 

本郷先輩「まわし、着けてきました。とびきり細いまわしです。これでがっぷり四つのうっちゃり大一番、お願いします!」

«I’m wearing a sumo mawashi. An extremely thin mawashi. Please, lift me up by it and toss me to the floor!»

これは言葉遊びなので翻訳が難しいところですが、「まわしで私を持ち上げて床にたたきつけてください」っていうのは別種の面白さがあって悪くないと思います。本当に相撲を想起させるような言い回しを選んだわけですね。

その後本郷先輩は華麗にたしなめられ、「無理しない(Don’t bite off more than you can chew)」と言って去るミロ先生。これは「手に余ることをするな(噛めないほど頬張るな)」というイディオムです。

 

場面とんで、のぼせた和紗を介護する菅原氏。

菅原氏「変に部屋に戻るより、ここの方が涼しいから」

«It’s way cooler here than if we went back to that weird room.»

ここは翻訳ミスですね。「変な部屋」になっています。ここでの「変に」というのは「わざわざ」などと言い換えることができるので、if we took the trouble to go back to our room にするのが良いと思います。

その後、「菅原氏は私のおっぱいを見てどう思ったんだろう」とボーっと考える和紗

 

 

和紗(おっぱいおっぱい考えてる私って……なんかほんとバカみたいだ。バカみたいな私にふさわしい、ばかみたいなおっぱい……)

«I can’t stop thinking about boobs… I’m so stupid. I’m stupid, and my boobs are stupid, too.»

ここの一連のセリフはすごく面白くて好きなのですが、やっぱり日本語のこの面白さを十分に英訳するのは難しいかもしれませんね。さきほどのうっちゃり大一番も含めて、第7話は脚本の完成度が本当に高いと思います。後半のキャッチボールの回想からのキーホルダーも見事ですしね。ちなみにこの後の「10個のおっぱい」のくだりはリアクションでかなりウケてました。

 

今回は以上です。続きをやるかどうかは未定。面白いのがあれば是非取り上げたいとは思ってるんですが、この企画なかなか時間がとられるので、まあ難しいかもしれません。というかこういうこと(英語字幕の検証)やってるブログあると思うんですよね。もし誰かご存知の方いたら教えてください。次からそこを紹介して終わりにできたら楽なので。