11月3日(ルイのお誕生日会)

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先週の火曜日、日本では明治節の祝日でしたが、昼にアルからメールが来ました。

「今日はルイの30歳の誕生日なんだけど、一緒にお祝いしないかい?」

唐突だなおい。そんな急に言われてもプレゼント用意できな……と、こんなこともあろうかと、去年日本から戻ってくるときに日本酒を持ってきていたのを思い出しました。まあこんなご時世なのでプライベートとは言え集まるのは気がかりでしたが、ひょっとしたらこれがお祝いできる最後の機会になるかもしれないので、ささやかでもお祝いしたいなということで行くことにしました。

 

場所はパリ南部にあるルイとアルのシェアルーム。新しめのマンションが立ち並ぶエリアの一角で、部屋もなんと最上階(15階)でした。アルに招かれ部屋に入ると韓国のイェジンも既に来ていて盛り上がっていました。日本酒の他にも近所のスーパーで買ってきた冷凍餃子と冷凍焼き鳥を取り出すと、ルイよりもむしろイェジンの方が大はしゃぎで、「すぐ食べよう!」とうるさいのでキッチンを借りて作ってあげました。

ルイ「日本では料理のシェフのことを何て呼ぶの?」
僕『あー、料理のジャンルによって違うかなあ。例えば寿司だったら大将だったり。でもフレンチとかイタリアンが人気だから、日本でもシェフって呼ぶことが多いよ」
「そうなんだ。じゃあ今夜は了三がタイショーだね」

 

その後いろいろ話しているうちにアルが「上の部屋からエッフェル塔が見えるよ」と言うので、ライトアップの時間を待って見に行くことに。このマンションはメゾネット式になっていて、最上階のこの部屋はなんと屋上に出れるようになってるんですね。

 

 

こんな感じの実に雰囲気ある部屋で、なんと羨ましい住環境ですこと。

 

 

アル「去年この屋上で工事をやってて、その人たちがこの梯子を置き忘れて行ったんだよね。そのおかげでこうやって上に登れるのさ」
僕『実にフランスらしいエピソードだわね』

 

 

シャンパンを飲みながらエッフェル塔のライトアップを眺めます。アルとイェジンが二人で話し始めたので、その流れでルイに話しかけてみました。

僕『ルイはこの一年どうするの?』
ルイ「今のところはパリに残りたいけど、そのためには働き口を見つけないとね。ビザは年末で切れるから、それまでになんとかしなくちゃいけない。両親はまだ勉強を続けてもいいって言ってくれてるんだけど、あまりダラダラとやっててもいいことはないからね。その両親もアメリカへの移住手続きをしている最中なんだけど、コロナの影響で相当延びていて、まだ数年待たなくちゃいけないみたいなんだ。僕も……多分コロンビアに戻ることはないかな。コロンビアでは、今自分たちがやってるような新しい音楽みたいなのは全然受け入れる風潮はないからね。まあ難しいね、いろいろと」

いや本当に、耳が痛いというか、改めて自分の危機感を思い知らされましたね。学校が閉鎖されてしまうとつい時間が止まったような気分になってしまいますが、そんなことは言ってられないわけで、残された時間でちゃんと実のある成果を出すためにも、死ぬ気で頑張らないといけませんね。

 

 

僕『これiPhone11で撮ったやつ』
アル「ええ!? 全然見た目と違うじゃん! こんな明るくないよ!」
『今はインスタの時代ですから。こういうキラキラな写真で「パリって素敵!」って思わせるのが大事よ』

 

この頃はパリでも最低気温が0度近くなってきたのでかなり冷えます。なのですぐ部屋に戻ることに。戻ってからお待ちかねの日本酒タイム。

 

 

今回用意したのは出羽桜の一路。出羽桜はまだ一度も飲んだことがなかったので僕もこれが初めてでした。まず試飲で僕が一口飲んだのですが、思わず「ああこれはうまいわ!」と言ってしまうほどでしたね。非常に爽やかな飲み口で、しかし軽すぎずちゃんと純米の存在感があって、なんと言っても広がる吟醸香の豊かなこと。素晴らしい銘酒です。

焼き鳥と一緒に飲んでるルイも大満足の様子。

ルイ「本当に美味しいよこれ! 日本語で何て言えばいいんだ!」
僕『一般的にはオイシイだけど、ウマイって言い方もある。で、くだけた言い方をするならウメエかな。チョーウメエだとかなり野蛮な感じになる。ヤクザっぽい喋り方みたいな」
「この前のAKIRAみたいな感じ?」
『あーまさにそう。あれはヤクザじゃないけど、時代としてはまさにヤクザ全盛期だったから。そういう不良っぽいセリフが多かったね』
「そうなんだ。タイショー、チョーウメエ!

いやルイの喋る日本語は本当に発音が自然で笑ってしまいます。前々から思っていましたがやはり言語感覚が優れていますね彼は。ルイのフランス語は僕からすればネイティブにしか聞こえないですからね、大したものです。

 

とても楽しい会でした。まあ言うまでもないんですが、やはりこうやって友達と話すのが一番言語の勉強になりますね。次から次へと「ああ本当はこういう言い回しがしたいのに」という表現が出てくるので、それをメモするだけでとても役に立ちます。ちなみに今回新しく聞き覚えた単語はprostituer(売春)です。