8月3日、4日は小学校からの友人タクミの結婚式で東京へ行っていました。
彼は以前僕の祖母の葬式の話のときにも軽く登場しましたが、もう20数年もの付き合いになる友達なので、感慨深いものがあります。僕の世代ですから、小さい頃は遊ぶ約束をするときに連絡網に書かれている電話番号へ電話するわけですが、100回以上かけたであろう彼の実家の電話番号は今でも覚えていますし、年賀状も毎年書いたので住所も完全に覚えています。それぐらい僕にとって大切な友人ということですが、しかし今となっては失われた文化ですねこれは。
式の最中でとんでもないハプニングでもあればそれを書いたかもしれませんが、終始和やかで素敵な結婚式だったので、ここではこれ以上語りません。しかし、参加していた他の友人が撮ったある一枚の写真、それはフラワーシャワーの場面なんですが、それがあまりに美しいというか、人生においてこんなにも輝かしい瞬間があるものなのかと思わせられる一枚で、とても感動しましたね。まあ結婚どころかてめーの人生すらままならない僕にとってはまぶしすぎる光景なんですが、友人として心から嬉しく思う一日でした。おめでとう、タクミ。
さて。タイトルでお分かりの通り以下は全然関係ない話をします。
今から4か月以上前にパリでお花見をしたのをここでも書きましたが、そのときに出会ったフローランという男のことです。彼は札幌にいる友人がカフェをオープンするというので、その手伝いをするためにワーホリのビザを取って日本へ行く予定だったのですが、本来もうオープンしているはずの予定が冬へ延期になったそうで、今から札幌へ行ってもしょうがないのでしばらく東京をブラブラすることにしたとのこと。僕自身も札幌でまた会えるのを楽しみにしていただけにとても残念だったのです。
それで、今回東京へ行くことになったので、ひょっとしたらフローランに会えるかもと思って連絡してみたら、向こうも是非会いたいと言ってくれたので、3日の結婚式の翌日に会うことにしたのです。
結婚式が終わった夜に僕が泊まったカプセルホテルが恵比寿、フローランが住んでるのは中目黒なので、距離はかなり近いんです。が、「昼までゆっくり寝たいよー」とのことだったので、翌日13時頃に待ち合わせにしました。
翌日、ホテルは朝出なくてはいけないので、さて待ち合わせまでどうやって時間を潰そうかと考えました。地図を見ながら、恵比寿からだったら明治神宮は歩いて行けるなあと思ったので、ぶらぶら散歩しながら神宮参拝でもしようかと思い至ったのですが、この日は東京34度近いほど暑かったので歩き始めてすぐにその選択を後悔しました。パリから札幌着いて暑いわ~なんて文句垂れてましたが、当然東京の方が暑いわけで、なんでこの炎天下の中「徒歩(かち)より詣でけり」なんて思ってしまったのか。
まあしかし男に二言はないので時々コンビニで涼をとりながら明治神宮へ向かいました。神宮の手前に代々木公園があるのですが、
なんだこれ。まったく予想外の看板を見つけてしまいました。「光り輝く2日間 スリランカフェス」ですよ。どうして行かずにいられようか。
というわけで、ここからスリランカフェスのレポートを始めます。
まず大きな音がするので特設ステージの方へ。スリランカの伝統的なキャンディアンダンスや演奏が行われていました。男性は1枚目のような体の軸を斜めにしてくるくるっと回る動きが多くて、かなりアクロバティックでしたね。
実はスリランカはカニが有名で、現地でも高級食材です。北海道人としてはカニと聞いちゃあ黙っていられねえ! 食ってみるか!
高っか。黙ります。
スリランカの名物、タンビリと呼ばれるキングココナッツのジュース。ココナッツの先端を切って、そこにストローを刺してそのまま飲みます。見た目の割に中身は少なそうだなと思って敬遠したのですが、調べてみると中はぎっしりジュースが詰まってるみたいですね。くそ、飲んでみればよかった。
フェス関係ねーだろそれ。
これは手ごろな値段で美味しそうだったので食べてみることにしました。コットロティのロティはインドカレー屋さんでたまに見かけるあのロティ、薄焼きパンのことですね。言うなればスリランカ風そばめしって感じでしょうか。隣のはイディアッパムというスパイス仕立てのビーフン、スリランカ風焼きそばですね。ハーフ&ハーフもありますが、それぞれ単品で買いました。
会場中央の飲食スペースでいただきます。どちらもすごく美味しかったのですが、特にコットロティの独特なもちもちの食感はクセになりますね。しかし二つとも結構辛いです。インドカレー好きの僕でもヒィーって感じなので、辛いのが苦手な人にはキツいかも。いやしかし本当に美味しかった。今度パリのスリランカ料理店を探してみましょうかね。
辛い後にはジュースが欲しい。ということでファルーダーを飲んでみました。写真だったら何のジュースなのか全然わからなかったんですが、牛乳ベースにアーモンドやピスタチオ、レーズン、タピオカなんかを混ぜた飲み物だそうで。さっきのタピオカミルクティーはあながち無関係ではなかったのか……?
まあとにかくかなり甘いジュースでしたね。このときは辛いのを食べた直後だったので美味しく飲めましたが、通常だとちょっと甘すぎるかもしれません。味は美味しかったですよ。
高架下の日陰のスペースでヨガをやっていました。多分無料で参加できるんじゃないですかね。
まあこういうのもあります。
フェスに便乗してなのかスリランカ以外の料理店もあります。タイはまだしもブラジルとなるとアジアでくくることも出来ないし、いよいよワールドフェスって感じですね。コロンビア料理のスペースもあったので、今度ルイに写真を紹介してみましょう。
まあそんな感じで食べたり見て回ったりしてるとあっという間に待ち合わせの時間になってしまいました。まさかスリランカフェスを楽しむことになるとは思ってもいませんでしたが、運が良かったですね。明治神宮のおかげと言えましょう。
その後明治神宮前から副都心線で中目黒へ。出口のところで長身のフローランを発見しました。日本語で話します。
僕『おおー久しぶりだね! 元気だった?』
フロ「うん、まあね」
まあね、というのが彼の口癖です。こうして会うのは二度目なんですが、なんだか懐かしい友達に会うような気分でした。
まずは彼が行ってみたいコーヒー屋さんがあるというので、そこへ行きます。僕が少し待ち合わせに遅れたのでご馳走しました。
ここはもう彼の住んでいるかなり近所らしいです。2階席で飲もうかと思ったのですがこの時間は日差しが強いみたいなので、このカウンターすぐ横の日陰に座って飲みました。僕は水出しアイスコーヒーを注文しましたが、美味しかったですよ。
『今住んでるところはどうやって見つけたの?』
「こっちの日本人の友達がルームシェアでかなり安いところを紹介してくれたんだよ」
『へえー。そういえばパリにいたときも、オペラのかなり良い部屋を激安で借りてたんでしょ?』
「そう、世の中コネが大事ね」
『ぐっ、日本人みたいなことを。そしたら別にアルバイトしなくても大丈夫なんだ?』
「いや、そろそろどこかで働こうと思ってたんだよね。フランス人シェフのパティスリーはいくつかあるから、そういう店とか。一つここから近いお店で気になってるのがあって。今から行こうか」
『えっ、今? いやいいけど、まだ行ったことないの?』
「うん、まだない。評判は良いらしいけどね」
そんなわけで次にケーキ屋さんへ行きます。ここから歩いて15分ほどでしたかね。
フランス語読みだとカカウエットでしょうかね。ちょっと変わった名前の店です。どのケーキにしようかなと悩んでいたら「今日はクレープの日」と書かれていたので、王道をゆくチョコバナナクレープを二人で注文しました。待っている間に僕がシェフの方を呼んだらすぐに来て、フローランと二人で色々話し始めました。短期でも構わないから今度面接しようか、みたいな流れになっていましたね。
話し終わってクレープを頬張るフローラン。
『どうだった?』
「んー、笑わない人だったね」
『ああそうね、話しぶりは結構真面目そうな雰囲気だったね』
「真面目なのはいいんだけど、仕事中ずっとああいう雰囲気だと、疲れちゃうね」
『そうね、どうせなら楽しく仕事したいものね』
「でもまさか今日いきなりシェフと話すとは思わなかったよ」
『だって気になってたんでしょ? 別にすぐに決めなくたって、まずは会ってみればいいじゃない』
「まあね」
店内は狭かったのであまりダラダラ居座るわけにもいかないので、中目黒駅の方へ歩いて適当な店を探すことに。ちなみにクレープは生地がすごく美味しくて、オススメです。
『あれ!? ピカール(フランスの有名な冷凍食品チェーン店)じゃん! ええ、日本にもあるんだ。知らなかったよ』
「ここだけじゃなくて、いくつか見かけたよ」
『へえー。フランスと同じもの売ってるのかな。冷凍ラザニアとかアシパルマンティエとか』
「多分ね。でも日本ではあまり売れないかもね」
『んー日本は冷凍食品大国だからね。冷凍餃子とか食べたことある? フライパンに並べるだけでできちゃうんだよ。美味しいし安いし、おすすめだよ』
「へえ、食べたことない。今度買ってみるよ」
歩いているとかき氷の看板を発見。フローランは食べたことないと言うので、それなら行くしかないでしょう。
『これぞ日本の夏だよ。お祭りの屋台では定番なんだ』
「うん、冷たくて美味しい。でも、日本に来てドイツ風のバーに入ってフランス人の僕がかき氷を食べてるって、なんかウケるね」
『言われてみれば確かにね。笑 それ食べてると舌が緑色になるよ』
「マジで?(舌をベロっと出す)」
『あーもう完全にピッコロ大魔王の色だよ』
その後も色々な話をしていたらあっという間にお別れの時間になってしまいました。こんな楽しいならもう一泊してもよかったなーと少し後悔。まあまた会う日を楽しみに待つことにしましょう。次は彼が秋か冬に札幌へ行くときにまた近況を聞いてみます。