2018年秋アニメ総括

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2018年9月〜12月期のアニメシリーズの総括です。

残念ながら今期はパリでの生活が始まったばかりということもあって、全然本数を消化することは出来ませんでした。なので総括と言うには憚られるのですが、最後まで完走した作品についての感想を述べていきます。

評価基準についてはこちらをご覧ください。MALはMyAnimeListの現時点のスコアと投票人数です。

ではいきましょー!

 

A+ ゴールデンカムイ (シナリオ、コンテ・演出、声: S)
MAL: 7.76/35k

必ず見るべき作品。抜群に練られたシナリオとシリーズ構成、各話を見事に際立たせている演出、完璧なキャスティング。声のレベルはここ数年で最高峰ではないかと思ってます。登場人物が多いにも関わらずサブキャラはどれも魅力的な演技で、わずかな登場時間でもキャラクター性が奥深くまで掘り下げられています。そしてメインキャラは文句のつけようがないほど素晴らしい。男性陣はもちろんですが、ヒロインのアシリパ(声:白石晴香)もとても良いです。若々しく端正な声というだけではなく、複雑な心情から来る微妙な声の表情がとても素晴らしい。今後がますます楽しみな声優さんです。何より杉元が彼(声:小林親弘)でよかった。もう彼以外考えられないというくらい見事でした。回を追うごとにどんどん良くなっていきましたね。

もちろんそれらを引き立てたのは音響監督(明田川仁)に依るところが大きいでしょう。劇伴の使い方も含めて見事でした。

OP・EDは第一期はSでした。大変素晴らしい。今期はAですね。

ただ作品の中の全てが褒められるわけではありません。一期目より安定してきたとは言え作画が怪しい部分は少なくないですし、むしろゆるキャラのような存在感を放つCGベアーも、も少しなんとかならなかったのかという思いはあります。しかしそれでも補って余りあるほどの魅力に溢れた作品であることは間違いありません。

僕は原作を最初の数巻しかまだ読んでいないので、そちらをある程度読み終えた後で個別記事で改めて批評を行います。この3ヶ月間、本当に楽しませてくれました。皆さんこんなブログを見るのをやめて今すぐにアニメ本編を見てください(本気です)。アマゾンにもありますし他でも配信されてます。全話見終わったら戻ってきてください

 

B 色づく世界の明日から (美術: A)
MAL: 7.68/30k

僕が最も愛する作品の一つ、『凪のあすから』と同じ制作会社のP.A.WORKS。というだけでなく、監督、プロデューサー、更にはEDを歌うやなぎなぎまで同じ。僕と同様、期待せずにはいられなかった人もいたことでしょう。しかし…

まず1話の時点で既にあまり良くない。色(色覚)を失った少女、というのをテーマにしておいて、どうしてああなってしまうのか。もっと彼女の主観の視点で、世界がどう見えるのかを描くべきでした。要はモノクロのカットが少なすぎる。色彩溢れる美術を前面に出していきたかったか、単調な画面で飽きられるのを恐れたのか、いずれにしろその判断は間違ってると思います。だったらそもそもこの企画をやるべきではない。徹底していない、というのがこの作品の最大の欠点です。

それは未来からやってきたという設定にしても同じです。差し出された絆創膏に対して「それ、何ですか?」というのだけでは安直が過ぎる。しかもその後の話数でも、擦りむいたときに未来ではどうしているのか、というのが結局示されないままほったらかしになっている。「身体感覚」が違うとか、「常識的な反応」が違うとか、もっと良いやり方でもっと徹底してやらないと、「同じだけど、ちょっと違う。違うけど、ちょっと同じ」という台詞の実感がまったくこもってこないのです。例えば窓から逃げ出すときに、ノブを初めて見てまず軽くタッチしようとしたカット、ああいうのはとても良いです。もっとそういう演出を随所に散りばめてほしいところでした。

魔法というのがその世界でどのように受け入れられているのか、この非常に重要な要素も、結局最後まで不自然さが拭えませんでした。ローファンタジーというよりは、現実と変わらない日常の中にほんのわずかなファンタジー要素が加わる場合、それが物語世界にどう溶け込んでいるのかを伝えることはとても重要です。先に挙げた『凪のあすから』ではそれが完璧に成功している一方で、今作はほぼ上手くいっていないと言えるでしょう。(同じように上手くいっていない例でパッと浮かんだのは『亜人ちゃんは語りたい』ですね)

シリーズ後半10話、11話あたりは良く構成されてるなと思いますが、やはり上記のことや単純にコンテがダルかったりして見所に欠ける印象が強い作品でした。篠原監督のことはとても尊敬しているので、次の作品で挽回を期待したいです。

 

B ツルネ -風舞高校弓道部- (コンテ・演出、作画、美術: A
MAL: 7.48/5k

(シリーズ未完。10話まで視聴)
京都アニメーション作品。原作も自社文庫。

『色づく〜』と比較するとコンテ・演出がしっかりしていて、それだけで安定感が全然違いますね。ではなぜ同じ評価かと言うと企画(原作)、シナリオが面白くないんです。王道というより平凡、キャラクター造形も非常に単純で、予想外なことが何もない。むしろそんな土台でもきっちり磨き上げればここまで仕上げられるのが京アニの恐ろしいところですね。

画像は第6話、シリーズ唯一の山田尚子演出回です。この一連のシーンが非常に彼女らしさに溢れてて面白かったです。

同じく京アニ女性向け作品の『Free!』(MAL: 7.56/216k)との比較研究は面白いかもしれませんね。なぜここまでの差が生まれるのか。僕自身で研究したいところですがそんなことやってる立場じゃないことぐらいの自覚はあるので、ご意見ください。

 

以上です!
たった3作品だけで申し訳ないです。今後は毎クール5本くらいは完走して感想を述べたいと思います。

今まで友人と喋ったりして総評を語ることは多かったですが、ちゃんと文章にすると大変ですねやっぱり。でも形に残すことが大事だと思うので、今後も頑張ります。あ、違った、頑張るぞい!(中身はおっさん)