【オペラ】シュトックハウゼン: Samstag aus Licht 6/29@CdlM、SJSC教会

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6月29日、シュトックハウゼンのオペラ、«Samstag aus Licht» の公演に行ってきました。

この作品を言葉で説明するのは非常に困難なのですが、色々な助けを借りながら書いていこうと思います。

 

まずは作曲家シュトックハウゼンについて。詳細は日本語版Wikipediaに詳しく書かれているのでそちらから。一言で言えばジョン・ケージに次いで最も有名な現代作曲家です。おそらくブーレーズよりも知られているんじゃないですかね。

僕も大学1年生のときに、彼の名高い『ヘリコプターカルテット』のCDを買って20人くらいで鑑賞会をしたことがあります。この作品が今回のオペラの一部だったなんて当時はまったく知りませんでした。まあ結局あの曲をまともに聴いたのはそれが最後になってしまいましたが。結構高いCDだったのに……

 

今回のオペラについては、バリトン歌手でありシュトックハウゼンの研究者でもある松平敬さんが自身のHPで詳しく説明してくださってるので、そちらをご覧ください。概略としては、シュトックハウゼンが50歳になる頃から20年以上かけて作った7つの連作オペラ『Licht – 光』は、各作品が曜日名になっていて、月曜日から日曜日まで1週間かけて毎日演奏するのを理想の形として作曲されました。4日間かけて演奏するワーグナーの『ニーベルングの指環』の更に上を行こうという発想なんでしょうか。今回演奏するのは第6部(作曲順としては2番目)の『土曜日』で、4幕構成で約3時間です。

会場は第3幕までがシテ・ドゥ・ラ・ミュージック、最後の第4幕はサンジャック・サンクリストフ教会に移動してそこで演奏されました。詳しくは後ほど。

 

幸いYoutubeで全楽章の音源が見つかったのでそれも合わせて紹介していきます。

 

プログラム

 

序曲:土曜日の迎え

僕はステージ向かって左側の2階席で聴いていました。冒頭は3階席の前後左右に配置された金管楽器と打楽器による序曲。第2幕までは指揮者なしで進行するので、遠く離れた4セクションがちゃんとアンサンブルするのは容易ではないですね。

プログラムによるとルシファーのフォルメル(詳しくは先ほどの松平さんのブログのSuperformelの解説から)の拡張系を演奏していると書かれているのですが、どう解釈するのかは僕にはよくわかりません。

 

音源はこちら。

 

Stockhausen Samstagsgruß

 

 

第1幕:ルシファーの夢

舞台には下手にピアノ、上手に大きめのソファーが置いてあるだけです。最初に主役のルシファーが登場し、ピアノを弾きながら歌います。それからソファーで横になった後、夢の中のピアニストが登場し演奏。特殊奏法が多い上に演技しながらの演奏が要求されるし喋ったりもするので、これが務まる人は限られていそうですね。

舞台後方に透けて見えるほど薄いスクリーンが垂れ下がっていて、そこに字幕が表示されるようになっていました。が、ほとんど数字の羅列か、あまり意味をなさない歌詞が多かったです。

途中でクラッカーを客席に数発打つ場面があって、しかも客席に中身がガンガン飛んでいくほど大きなものを使っていたので皆びっくりしていました。

最後は黒子が登場しピアノを中央まで移動させた後、そのまま第2幕へ繋がります。

 

音源はこちら。27:37あたりでクラッカーの音らしきものが聞こえますが、一発しか鳴ってないしすごく控えめなんですよね。なんでこんなに違うのかはわかりません。

 

Karlheinz Stockhausen – Luzifers Traum

 

 

第2幕:カティンカの歌(ルシファーのレクイエム)

中央に移動したピアノの上にフルーティストが胡坐をかいて演奏。先ほどの字幕のスクリーンのところに円形に表示された楽譜の一部が投射されていて、全部で24セクションあるうちの何番目を演奏しているのかが次々表示されていました。

同時に全身に色々ぶらさげた打楽器奏者が6人、2階席の左右と後方に2人ずつ配置されていて、常に何か鳴らしています。途中でフルーティストが顔のパーツが書かれた銅板のようなものを次々に打楽器奏者に受け渡していく場面がありました。

何言ってんだか全然わからないと思うので、これは映像を見てもらったほうが早いです。

 

Kathinkas Gesang Als Luzifers Requiem Vom SAMSTAG aus LICHT by Karlheinz Stockhausen

 

 

第3幕:ルシファーの踊り

ここからようやく指揮者の登場。舞台1階、2階、3階を使って立体的に管楽器奏者が配置されています。配置の仕方は先ほどの松平さんのブログに書いてあります。第1幕に登場したルシファーは3階の中央にいて歌っていました。

 

 

これがスクリーンに映ってる顔ですが、これは完成形で、この楽章の最初は眉毛だけ、その後に目、鼻、口と増えていきました。「目の踊り」とか「鼻の踊り」などの題がついている通り、映像もちょくちょく動くし、奏者も動きながら演奏していました。

 

途中でトランペットのソロがあり、その間指揮者は地べたに座っていました。トランペットが最後寝転がりながら吹き終わると黒子に運ばれて行って後半部が始まります。その後は第2幕のフルーティストも登場します。

最後は「ストライキ」と書かれている通り、オーケストラの奏者が次々に何か叫びながら退場していきます。ピアノの上に立ちながら歌っていたルシファーが一人取り残されて終わり。

 

音源はこちら。

 

Karlheinz Stockhausen – Luzifers Tanz

 

 

 

上段中央にいるセクシーなワンピースの男がピアニストで、隣にいるのがルシファー。下段の白服の金管隊は学生です。クラッカーの銀紙が散らばってるのも見えますね。

 

この後1時間の移動時間が設けられ、サンジャック・サンクリストフ教会へと移動します。遠くはないので歩いて20分程度で着きます。しかし、

 

 

なんせこの気温ですから。とにかく暑い。最低気温18度は大嘘もいいところですね。夜でもまったく涼しくありません。

 

 

これが教会。すでに行列ができているのが見えます。

中に入ると、まあ当然ですがめちゃくちゃ暑いです。コンサートホールは空調がきいてて過ごしやすかったですが、教会にそんなのあるわけないので、みんな自分で扇いでいます。そんな中開演。

 

 

第4幕:ルシファーの別れ

 

 

演奏中の照明はずっとこんな感じでした。最初に祭壇の前に本物のカラスの入れられたゲージが置かれた後、信者姿の黒服の男たちが客席を囲むように入場してきます。前方左側に白服のコーラス隊がいて、後方の2階にあるオルガンのところにトロンボーン隊がいます。まあ何かしらのブラックサバトを想像してもらえばわかりやすいです。実際そんな雰囲気で、木の板を貼り付けたような靴底を地面でかき鳴らしたり、呪文めいたものを応唱したり、鈴などを鳴らしながら歩き回ったりするのが最後まで続いていく感じです。

 

音源はこちら。

 

Karlheinz Stockhausen – Luzifers Abschied

 

最後に信者の長のような人がカラスのゲージを持ち出し出口へ向かうと、その後ろに他の信者たちが続いていきます。その後自然とお客さんもその後ろについて行って出口の方へ。

 

 

 

通り過ぎる間際に撮ったカラスくん。

 

これで終わるのかと思いきや、スタッフの人にここで待っててくださいとの指示が。どうやら門の前でまだ何かやるようです。

まずはカラスくんの解放式。

 

 

ゲージを開けてカラスが闇夜に消えた後、袋から何かを取り出して、2、3人ずつ掛け声に合わせて地面に叩きつけ始めました。

 

 

これはココナッツですね。割れた実を皆に配っていたので僕も受け取ってしまいました。食べてる人も結構いるので僕も少し齧ってみましたが、全然おいしくなかったです

先ほどのカラスを解放した長が最後に実を割って、叫びながら退場して拍手が起こって終了。その後みんな集まってきて挨拶していました。

 

 

 

えーと、以上です

まあそうですね、感想としましては、「もういいかな」という感じ。これ準備するのは相当大変だったと思います。これだけの規模なら少なくとも1年は費やしているでしょう。それは理解できますが、結局音楽そのものがそれほど面白いわけではありません。専門家の分析を勉強したら多少聴き方は変わるかもしれませんが、音楽作品・総合芸術作品としての評価は変わらないでしょう。

 

まあ伝説的な作品(の一部)なので一度体験できたのは良かったですが。もうお腹いっぱいです。