Agata Zubel: Aforyzmy na Miłosza 他 2e2m 1/15@マルセル・ランドスキホール [8.5]

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1月15日、2e2mのコンポーザー・イン・レジデンス、Agata Zubelのコンサートに行ってきました。

 

プログラム

 

3人の国籍が違う女性作曲家によるコンサートです。順に感想を書いていきます。

 

1. Suzanne Giraud (1958-) フランス «La Rivière» (2016) (国内初演)

バスーンの室内協奏曲。拍子・テンポが一定で、シークエンス的作風なのでいわゆる「現代音楽」っぽくない響き。特殊奏法もバスーンソロを除いてほとんど使っていない。全体の統一感は良いが、それほど響きが豊かに聞こえないのと、バスーンソロも少し面白みに欠ける。静的な表現にしても、もう少し細部に装飾がほしい。5.5。

 

2. Francesca Verunelli (1979-) イタリア «Cinemaolio» (2015)

6人の室内楽。こちらは打って変わって特殊奏法モリモリ。弦のピチカートやピアノの高音部を主軸にした粒子音的な作風。表現に激しさはあるもののこちらもシークエンス的な作風は同じ。いかんせん長い。20分弱あったのではないかと思うが、薄味のシーケンスがダラダラと続くのが非常に飽きる。3.0。

 

3. Agata Zubel (1978-) ポーランド «Aforyzmy na Miłosza» (2011)

今回のメイン。これが素晴らしかったです
タイトルは「ミウォシュの金言」。ミウォシュはリトアニア系ポーランド人の詩人で、ノーベル文学賞も受賞しています。作品はミウォシュの異なる7つの詩や散文からの短い引用テクスト(金言)を元に構成されています。

ソプラノと室内楽の作品ですが、歌うのはなんと作曲家自身。声も良いし声域も広くて、まったくとんでもない才能ですね。編成がまた面白い。フルート、クラリネット、トランペット、パーカッション、アコーディオン、弦クインテット。パーカッションは一人でかなり多くの楽器を扱っていたので大変そうでした。

とにかく響きの作り方がすごかったです。特にバスクラリネットやアコーディオン、ミュート付きトランペットと擦弦打楽器の組み合わせが見事で、どうやってこんな響きを作ってるんだ? という瞬間がいくつもありました。歌声との合わせ方もまた見事。特殊奏法がきちんと活かされていて、構成も退屈させないものになってました。

新作を聴いてこれほど良いなと思ったのはいつぶりだろうか、というくらい感銘を受けました。また彼女のコンサートはあるようなので、必ず聴きに行きます。いや良かったです。8.5。

 

 

当初は「別に行かなくてもいっか」なんて思ってたので、危なかったですねー。やはり新作を聴く機会を逃してはいけないと改めて思い至りました。今後また金返せコンサートが続いてもめげません。そういうもんです。