Festival Présences 2019(リーム祭り)2日目 2/13@ラジオフランス

2月13日、ラジオフランスで開催中のFestival Présences 2019、第2日目のコンサートへ行ってきました。

訳するなら「音楽の現在 2019」みたいな感じでしょうか。ラジオフランスでは毎年このフェスティバルを開催しており、異なる作曲家の特集を行っています。今年の特集はドイツの現代音楽作曲家、ヴォルフガング・リームです。Wikipedia(Eng)の概要を載せておきます。

今年は2月12日から17日までの日程で、特に週末は朝から晩までぎっしりプログラムが詰まってます。さすがに全てに参加できるわけではありませんが、都合の許す限り聴きに行こうと思っています。

 

 

公式プログラムは有料(5ユーロ)でしたが、何度も行くので買いました。表紙に写っているのがリームです。

 

さて今回は2日目コンサートの紹介です。

 

プログラム

全て10人以下の室内楽作品です。演奏順に紹介していきます。

 

1. Wolfgang Rihm (1952-) «Blick auf Kolchis» (国内初演)

始まりは主役のリームの作品。しかしあまり面白くはなかった。バイオリンとコントラバスフルートのデュオから始まり、その後全体アンサンブル。それの交代を2回ほどやって終了。音響も構成もさほど目を引くものはなかった。3.0。

 

2. Márton Illés (1975-) «Drei Aquarelle für kleines Ensemble»(世界初演)

ラジオフランス委嘱作品。作曲者はハンガリー出身で、バーゼル音楽院にてリームに学ぶ。先ほどの作品とはうってかわって、ほぼ特殊奏法のみでかなり先鋭的。ピアノは内部奏法ばかりだし、弦楽器もほぼ実音は出さない。打楽器が一人だけで非常に多くの仕事をこなしていて大変そうだったのは、現代作品によくある光景。しかし特殊奏法はなかなか効果的でリズム点の複雑さも面白かった。5.5。

 

3. Diana Soh (1984-) «Modicum»(世界初演)

作曲者はシンガポール出身の女性。IRCAMに所属していたこともあってか、最近のパリのコンサートではよく見かけます。プログラムの右ページに色々書かれているのはこの作品についてなのですが、かいつまんで書くと、「この作品は7楽章に分かれていて、各楽章で打楽器が少しずつ左から右へ動いて行くので、今何番目の楽章をやってるかわかりやすくなってます。この作品は2回演奏するので、一度目の演奏が終わったら楽章の演奏順をネット上で投票してください。2回目の演奏ではその投票結果に従って楽章を入れ替えながら演奏します」ということ。

 

これが実際の投票画面のスクリーンショットです。今の相対的な投票量も可視化されてますね。

 

さて。面白いですか? これ。仮に各楽章が非常に対照的な作りになっていたとしても、順番を入れ替えるだけならさほどの効果はありません。例えば打楽器だけ順番を入れ替えて演奏するとかなら面白そうです、もちろんそう出来るような作りになってなければいけませんが。実際のこの作品は各楽章1〜2分程度のほぼ単一シークエンスのキャラクターピースみたいな感じで、音自体があまり面白くありませんでした。何か実験的なことをするのは結構なんですが、これは今ひとつでしたね。3.5。

 

4. Sampo Haapamäki (1979-) «IDEA»(国内初演)

フィンランド出身の作曲家。これはライブエレクトロニクスの作品ですが、普通よりも面白い工夫がされてました。指揮者の右手にモーションセンサーを取り付けて、それとMAXを連動させているのです。公式プログラムに載っている作曲者本人の解説を見てみましょう。

 

「ライブエレクトロニクスのコンサートにおける目下の問題は、どうやってプログラムを演奏のタイミングと同期させるかということだ。任意の瞬間に演奏家がどこを弾いているのか、コンピューターが知る術はないのだろうか? 演奏領域と電子領域をリアルタイムでシンクロさせる方法はないのか? 現在この「演奏における実時間」(例えば何小節目を弾いているか、のようなもの)をコントロールするために様々な方法がとられているが、最も多いパターンとしてはキーボードを叩くという直接的な方法だ」
「あるときウィーンにある音楽博物館へ行って『バーチャルコンダクター』という展示に出会った。指揮棒を模した装置を使って、お客さんはそれを振りながら画面に映るウィーン交響楽団の指揮が出来るのだ。その人の好きなテンポで! 美しき青きドナウなどのいろんな名曲が自在なテンポで演奏されていた。この体験によって、演奏の中でさまざまな変化が起きる中で任意の瞬間をどうやって検知すればいいのか、アイデアを得ることができた」

 

実際この作品では、見てても明らかに指揮者の手の動きとプログラムや録音されているイベントの再生が見事にシンクロしていました。これは確かに面白いアイデアだと思います。

ただ、結論としては惜しいなと感じました。例えば演奏者が誰も弾いていない中でも指揮をしている場面もいくつかあったのですが、その姿は多少間抜けです。それは指揮とプログラムとのシンクロを示す為に必要だ、というのはわかるのですが、それだったらもっと大きくテンポを揺らして、その自在さを大きくアピールしてほしかったところです。

それと根本的な部分で、音の響きそのものがそれほど面白くはなかったです。楽器の音、電子音響それぞれ目をみはるようなものはなく、融合のさせ方も普通のものとそれほど変わりません。せっかくアイデアは面白いので、それを極端な方向で使う方針でやってみてほしかったですね。でもこういう作品に出会えただけでも収穫ですが。5.0。

 

 

演奏はEnsemble Court-Circuitという現代音楽専門集団で、さすが全体のレベルは高かったです。決して作品群に大満足というわけではありませんでしたが、試験勉強を犠牲にしてでも行ってよかったです。ほんとほんと。