以前のユーフォの劇伴分析のときと同じように、タイムシートでどのように音楽が使われているか見てみましょう。
EP06
① 00:23〜00:32 11s
00:32〜02:02 OP
② 02:06〜03:40 94s
③ 04:07〜04:24 17s
④ 04:46〜06:27 101s
⑤ 06:47〜07:24 37s
⑥ 08:01〜08:13 12s
⑦ 11:22〜12:22 60s
⑧ 14:11〜15:13 62s
⑨ 15:27〜17:12 105s
⑩ 17:22〜18:32 70s
⑪ 19:36〜22:08 152s
22:10〜23:40 ED
721s / 1240s 58.1%
これについて分析する前に、『推しの子』の同じく第6話のタイムシートと比較してみましょう。
EP06
00:00〜01:30 OP
① 01:36〜02:30 54s
② 02:54〜04:54 120s
③ 05:45〜07:29 104s
④ 08:12〜08:39 27s
⑤ 08:40〜09:37 57s
⑥ 10:17〜11:28 71s
⑦ 12:18〜14:30 132s
⑧ 14:58〜16:16 78s
⑨ 17:08〜19:48 160s
⑩ 20:01〜21:15 74s
⑪ 22:23〜22:56 33s
23:00〜25:00 Intro+ED
910s / 1290s 70.5%
偶然にも、2作品とも1話の中で劇伴音楽を11本も打っています。これは相当多いです。しかし、にも関わらず劇伴充填率には結構な開きがあるのが面白いですね。
『推しの子』第6話の音楽についてもこれはこれで相当興味深いのですが、今回の記事の内容からは外れてしまうので、あくまで比較に留めておきます。気が向いたらこちらも記事にしようと思います。
話を戻して、今回スキップとローファー第6話の分析で僕が驚いたのは、意外な充填率の低さですね。いや58%という数字自体は普通なのですが、見ている分にはもっと音楽が充実している印象だったんですよね。
なぜ印象と実際の開きがあるのかについて、まず特徴として目立つのは20秒以下の短い時間でも音楽をつけてる場面の多さですね。あんまりこういうのをやりすぎると、アニメがガチャガチャすると言いますか、「感情誘導」が多すぎてうるさくなる危険があるのですが、スキップの場合は実に上手くこれをやってのけてます。
一方で⑥と⑦の間には3分以上の音楽空白地帯があります。ここがAパート終わりの雨の教室のシーンですね。音楽を細かくつけていくだけじゃなく、セリフと環境音だけのシーンも大胆に配置する、このメリハリの付け方が第6話の構成美になっているわけですね。
そして最後の⑪では音楽を2分以上使って、音楽の展開を会話劇の流れに上手く添わせています。ちょうど曇天が晴れやかになるところでヴァイオリンの旋律が始まるなど、かなり計算して音楽を編集しているのがわかりますね。お見事です。この第6話の音楽編集については文句をつける箇所が一つもありません。教科書にしたいくらい完璧な仕事だと思います。
以上、スキップとローファー第6話の感想と分析でした。
今回記事を書くにあたって初めて原作漫画を少し読んでみたのですが、これはアニメのキャラクターデザインがめちゃくちゃ良い仕事をしたなあと思いました。漫画は漫画でもちろん素晴らしいのですが、それをキャラデザに起こすっていうのは実に微妙で繊細で難しい仕事なんですよね。今回キャラデザを担当しているのは梅下麻奈未、PAとの仕事では『サクラクエスト』の作画監督もされていたようです。この第6話の総作画監督も務めています。本当に素晴らしい仕事です、今後の活躍も楽しみですね。
第1話を見た時の僕の評価基準ではAは確実だなという感じでしたが、第6話を見終わった後だとこれはA+でもいいかもなあ、と思いましたね。このクオリティを維持したまま最終話まで駆け抜けてくれることを期待しています。