2月18日(破局と教訓)

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さて今週が冬休み前最後の学校です、気合い入れて行きましょう。今日も天気が良くて嬉しいですね。

今日のゲストは電子音楽専門の女性作曲家。同じテクスチャーの持続で息の長いタイプの作品傾向の人だったので、正直自分の好みではなかったですね。展開がないとすぐ眠くなってしまいます。

 

授業終わりにルイがビール飲まないかと誘ってきたので、一緒にバーへ。

ルイ「週末はどうだった?」
僕『例のフェスティバルでほぼ潰れたよ。まあいい作品ばかりでもなかったけど、行ってよかったよ』
「いいね、後で詳しく話聞かせてよ。こっちも週末はまあ… 色々あったよ」
『なに、どしたの』
「彼女にフラれた」
ちょっ え、本当に?』

まさかそんな話題を繰り出されるとは思ってませんでした。あぶねー、酒断らなくてよかったよ。

 

ルイの彼女は前にラーメン屋のときに書いた秋山澪です。これがただ単にフラれただけの話ならいいんですが、彼の場合は結構深刻です。なぜならコロンビアの大学で彼女に出会って、その後彼女はフランスへ帰国するのですが、別れたくないので追っかけようと決心しました。ルイがパリに留学しに来た理由はそれなんです。そういう背景を知っていたので、僕は大変驚いたわけです。

 

『いやー… 急だったんじゃないの? なにか予兆というか、そういうのはあったの?』
「まあ、確かに突然のことではあったけど、前からよく「私一人の時間が欲しい」とは言ってたんだ。もちろん僕はそれを尊重したいんだけど、こっちは普段作曲でなかなかつらくて、だから空いた時間は出来るだけ一緒に過ごしたいじゃない? そういう僕の気持ちと向こうとで、少しずつすれ違いが生まれていったのかもね」
『んーまあ、よくある話といえばよくある話だけど、そうは言ってもねえ…』
「仕方ないね。人生そういうものだから」
『そりゃ、そうだけど。でも僕自身も彼女に会うの楽しみだったんだけどなあ』

彼女は実はフランス人と日本人のハーフなのです。ずっとフランスで育ったので生活も言語もそちらがメインなんですが、日本語も多少は話せるみたいですし、日本文化にも強い憧れがあるみたいで、ルイは一度3人で会おうと言ってくれてたんですね。

「そうなんだよね。それは僕も残念だ。彼女に了三の話をしたら私も会いたいって言ってたから」

これでヴァイオリンでバンド参加の話は完全に消えましたね。こればかりは仕方ない。

 

「こうなったらTinderでも使ってみようかなー」
『んん!? あーなんか聞いたことあるな。あれでしょ、マッチングアプリみたいな』
「そうそう、知ってるじゃん」
『まあ日本にもそういうの沢山あるからね。自分は使おうと思わないけど…』
「どうして?」

そりゃお前そういう連中しかいねーだろそんな場所には。知らんけどさ。

『いや、自分は使ったことないからわからんよ? わからんけど、多分なんていうか、類型的というか、そういうのを使う女の子っていうのは限られてるでしょ』
「あはは笑 確かにその通り。まあでも一人でいるよりいいからさ。別に一緒に食事でもして、それでハイさよならでも構わないんだ。その時間楽しめればそれでいいよ」
『へえー。いやルイは僕よりよっぽど男らしいね。僕は一人でいることに慣れきってしまったから。旅行へ行くのも、映画を見るのも、いつも一人さ』
「もちろん僕にも一人でいる時間は大事だよ。でも楽しむ時間もほしいじゃん」

僕にとってはルイが健康的で羨ましいですね。僕自身が正反対であるにも関わらず、「男は女遊びしてなんぼだ」と思ってますから。なにかと潔癖が好まれる世の中になってきましたけど、僕は無頼という概念が非常に好きだし、大事だと思ってます。

 

その後は色々話題があったのですが、将来の進路の話もありました。

「将来どこかの先生になったりするの?」
『そりゃあそういう機会があれば大変結構なことだろうけど、今日本で音楽の教授職に就くのは非常に難しいからね』
「どうして?」
『単純にお金の問題さ。科学系の大学ですらどんどん予算が削られてるのに、音楽にお金まわしてる余裕なんてないよ』
「どうしてお金ないの? 90年頃は好景気だったんじゃないの?」
『よく知ってるね。でもそのときが頂点で、その後の今に至るまでを「失われた30年」と日本では呼んでるんだ』
「へえ、どうして「失われた」なの?」

お前それを俺のフランス語で説明せいっちゅーんか。無理無理かたつむりやで。

『あー、うー、(唸る)まあとにかく、経済の政策について、正しい選択をしてこれなかったんだ。簡単に言えばそういうことだ』
「うんうん、それはわかるよ」
『しかし今一番厳しい問題はなにより少子化だ。これが問題の全てとも言える。中国・韓国も同じ状況だね』
「あーそうなんだ。移民で補ったりとか、そういうことはしないの?」
『もちろんそういう動きもある。けど色々な問題が今もあって…』

だから難しいっちゅーの! いやー今日のこれは非常に大きな反省となりました。

 

教訓:留学する人は自国の歴史や状況を話せるような語彙を身につけておこうね!!

 

いや冗談抜きでこれは大事なことなんですよね。たとえアホな意見を返されたとしても、外国人から日本がどう見えるのかという反応を直接もらえる機会をみすみす失ってしまうのは本当にもったいないです。そのうち記事にしてちゃんと勉強しなきゃいけませんね…

 

「それじゃあ将来たくさん赤ちゃん作らなきゃね 笑」
『ハハハ(乾いた笑い)』

僕の場合そのために超えなきゃいけないハードルいくつあるんでしょうね。数えたくない。