2月7日、シテ・ドゥ・ラ・ミュージックのダネル弦楽四重奏団「5夜連続ヴァインベルク祭り」の4日目コンサートへ行ってきました。
作曲家ヴァインベルクと、演奏するダネル弦楽四重奏団の詳細については2日目の記事をご覧ください。
1. 弦楽四重奏曲第11番 (1966)
2. 弦楽四重奏曲第13番 (1977)
3. 弦楽四重奏曲第12番 (1970)
ヴァインベルクがオペラを書き始める中期から後期にかけての作品。結論から言うと、この3作品はどれもあまり好きではありません。そもそも、この時代に「伝統書法の中で」カルテットを書くこと自体が非常に難しいと思っています。前衛的な方向へ走らず、新古典主義としてスッキリまとめるわけでもなく、かつショスタコーヴィチなどの先人と被らないような作風を模索しないといけないわけですから、これは大変です。
問題は12番ですが、これは今までの曲の中でも最高難易度の作品です。3楽章がとにかく速くてデタラメに難しいのですが、演奏は凄まじかったです。昨日ヴィオラについて色々と言いましたが、さすがの彼もここでは冷静ではいられず、猛然と弾いてました。1st以外の3人が皆んな弓の毛が3、4本切れてるというだけでどんな演奏か想像がつくでしょう。1stも山場を越えて休みのときに肩で息してましたからね、どんだけだよ。
まあとにかく迫真の演奏だったのは間違いないのですが、作品そのものを認める気持ちにはあまりなれないです。「演奏者をそこまで駆り立てたのなら作品として成功なのでは?」というのも一理あるのですが、例えば演劇などで「役者が狂ったように感情を爆発させる」脚本を書いてうまくいったかに見えたとしても、そこに十分な裏付けがないとむしろ見ている方は冷めてしまいます。
極端な方へ走るだけなら簡単なんです。エログロナンセンスって昔から言うでしょう。さすがにこの作品に対してそこまで悪く言うつもりはないですが、よくできてるとは思えないというのが正直な感想です。
アンコールは2日目の記事でも書いたとおり、十八番の第5番3楽章でした。あんなヘトヘトになるような曲をやった後で大丈夫なのかと思いましたが、見事にやってのけました。でも1stのマルク・ダネル氏は弾き終わった瞬間にぐったりの様子で、「頼むからもう休んでくれ…」と申し訳ない気持ちになりました。写真(一番左)でも憔悴していらっしゃるのがわかるでしょう…