今Twitterで箸の使い方の話題が盛り上がっているみたいですが、これを見てつい思い出してしまったことがあるので書こうと思います。話題そのものについてはTogetterのまとめを載せておきます。
小学校の先生に「箸の持ち方がおかしい。お嫁にいけないよ」と言われた話
小学校の頃の同級生でユウキという奴がいました。体型はやや太り気味でメガネをしていて、勉強もスポーツもそれほど得意なタイプではありません。どちらかというと暗い、大人しい性格だった彼が才能を発揮し始めたのは僕の記憶では小学校5年生になった頃からでした。
ユウキはとにかく人の行いにツッコミを入れるのが上手かったんです。その相手は僕も含めて誰彼構わずという感じでしたが、特に犠牲になっていたのは天然ボケタイプのマリモという女子でした。
マリモ「(通路を塞いで話しているユウキに対して)ちょっと、どけてよ」
ユウキ「どけてってなんだよ。どけてっていうのは物に対して言うことだろ。人に言うときはどいてって言うべきだろうがよ。違うか? ほら言い直せよ」
マリモ「じゃあどいてよ!」
ユウキ「やだよ」
いつもこんな調子だったので女子たちからはもちろん嫌われていたのですが、僕にとっては愉快な友達でした。
ある給食の時間で、またマリモに対して文句を言っている場面。彼女の箸の使い方は、ばってん箸と当時は呼んでいたと思うのですが、要は箸をクロスさせてから食べ物を挟むあのやり方だったのです。たまにいますよねそういう人。
ユウキ「お前なんだよその箸の使い方は。めちゃくちゃじゃねーかよ」
マリモ「いいでしょ別に。これで食べれてるんだから」
ユウキ「お前がいいかどうかは関係ねえんだよ。将来子供ができたとするだろ。そしたらお前はその子供にも同じように箸の使い方を教えるわけだろ。さらにその子が親になったときにその子供に教えて、っていう風にどんどんどんどん間違った箸の使い方をするやつが増えていくことになるんだよ。その負の連鎖を今ここで止めておかないといけないんだよ」
まあこれを聞いた当時すごく笑った記憶があるんですが、同時にすごく感心もしたんですよ。よくそんな発想ができて、しかも瞬間的にペラペラと喋れるなあと。こういう能力は勉強できるできないとは関係ないんだなとそのときから思っていました。
その矛先が僕に向かってきたことももちろんあります。卒業式のときに、親とか身近な人に手紙を書くというイベントがあって、書いた手紙を封筒に入れてその表に「〜〜へ」と書いて掲示板に貼るという形式でした。それで僕は「両親へ」と書いたのですが、それを見たユウキに、
「んー、普通両親へとは書かなくないか? それだったらお父さんお母さんへにするべきだろ」
と言われてやっちまったー! とすごく後悔したのを覚えています。そんな感じで、「言われれば確かにそうだな」という意見を常にぶつけてくる、面白い奴でした。
いやー他にも彼の面白いエピソードは沢山あるはずなんですけどね。思い出せないのがとても悔しいです。まあ今紹介したエピソードだって本人は絶対忘れていますけどね。得てしてそういうものです。
いいオチがないので今使ってる箸の紹介です。これは以前鎌倉へ初めて行ったときにお箸の専門店を発見して買ったもので、五角形の箸です。子供の頃テレビで五角形とか七角形の箸は機械では作れないから職人が手作りするしかないみたいなのを見た記憶があって、なんか憧れがあったのでついつい買ってしまったのです。それをパリにも持ってきて今使っています。使い心地はとてもいいですね。
冒頭の話題に対しては、「作法は知っておくべきだ(つまり教えるべきだ)」というのが僕の意見です。知ってて敢えてやらないのは自由ですが、知らないのは問題だと思いますね。まあ大体の物事に共通することですが。
とかなんとか言っておきながら僕の箸の使い方は実は正しくありません。
こんな風に人差し指を使わず、ほとんど中指だけで動かしています。なんでこうなってしまったのか全然覚えていません。「よくそれで使えるな」と言われるのですが、もう慣れてしまっているのでこれでちゃんと小豆も摘めます。もちろん例えばルイに箸の使い方を教えるときなんかはちゃんと正しい使い方で教えていますよ。
言い訳じゃありませんが「お茶碗とお箸の正しい作法」は一応知っています。日本人の8割、ひょっとしたら9割近くの人は知らないんじゃないですかね。『この世界の片隅に』の冒頭で、大きくなったすずさんが家でご飯を食べているシーンでの、おばあちゃんのお茶碗とお箸の使い方が正しい作法です。よくそんな細かいところをアニメで作画したもんだなと感心しました。気になる方は確認してみてください。