Création(s) Manifeste(s) -Ensemble intercontemporain 6/14@CdlM [7.0]

スポンサーリンク

6月14日、シテ・ドゥ・ラ・ミュージックのアンサンブル・アンテルコンタンポランのコンサートに行ってきました。これも前回のと同様、IRCAMの音楽祭「Festival ManiFeste 2019」のプログラムの一つです。

全て2019年作曲の世界初演、最初の作品はIRCAM委嘱、それ以外はアンサンブル・アンテルコンタンポラン委嘱作品です。また、最初の作品のみ電子制御の要素がありますが、それ以外は純オーケストラ作品です。

 

 

プログラム

 

1. Roque Rivas (1975-) «Campo abierto»

チリ出身の作曲家。故郷でジャズギターとピアノを学んだ後、リヨン高等音楽院、パリ高等音楽院を経てIRCAMで学ぶ。

この作品が素晴らしかったんです。各楽器セクションにマイクが設置されていて、それを立体配置してあるスピーカーでミキサー調整しながら音響操作していたのですが、そのときにリアルタイム音響変換(ライブエレクトロニクス)の要素がどれくらいあったのかはちょっとわからなかったです。あったとしても控えめな装飾程度で、基本的には「スピーカー補助による空間オーケストラ作品」と言っていいと思います。指揮者もイヤホンしてませんでしたし。

大雑把に言えば緩急緩急緩の5つの部分に分かれていて、3番目のゆったりした場面は少し長め、おそらく10分近くあったと思います。オーケストラ楽器としては変わったものを特に使ってはいませんし、特殊奏法もほとんど使っていなかったと思いますが、とても洗練された楽器法で、中だるみする瞬間がほとんどない、緻密なオーケストレーションでした。敢えて言うなら「作曲コンクールで優勝しそうな作品」といった感じでしょうか。客観的に見て(まあ現代音楽で客観的というのも少し厄介な話ではあるのですが)評価されやすい傾向の作品だったと思います。

 

人によってはこの作品を「先進性のない古い作品」と評するかもしれませんが、よくある「音響カタログ」の作品より遥かにマシですし、むしろ一周回ってと言いますか、反動的にこういう傾向の方が「新しい」と言える時代になってるんじゃないかと僕は思っています。電子制御の空間音響もなかなか効果的だったと思いますし、これはまた再演してもらいたいですね。7.0

 

 

 

2. Franck Bedrossian (1971-) «Le Lieu et la formule»

前回のコンサートでも登場した作曲家です。先ほどの曲とは見事に対照的で特殊奏法もりもりの作品。ランボーのテキストを基にした作品で、奏者にそのテキストを喋らせたりしているのですが、僕はそもそもそういう手法が嫌いなのでこの時点であまり印象が良くない。全体的にゆっくりとした薄いアンサンブルで、プログラムに書かれている通り「瞑想的な」作品でしたが、先ほどの作品の直後ということもあって、工夫の欠けた楽器法が嫌でも目についてしまいます。演奏時間はほとんど同じはずですが、こちらの方がずっと長く感じましたね。

途中で何度か奏者全員で口笛を吹く場面があったのですが、そこだけは見事でしたね。おそらく厳密ではなくおおよその音高を指定した楽譜だと思うのですが、妙に面白い音響になっていました。今時現代音楽をやる人は口笛ぐらい自在に吹けて当然だということですね(極論)。4.0

 

3. Benoît Sitzia (1990-) «Écho-Manifeste»

フランス人の若い作曲家。パリ高等音楽院でジェルヴァゾーニに学んだ後、いくつかの演奏団体や創造グループを主宰している精力的な人です。

20人以下の小アンサンブル作品。中央後方にチェロ、トロンボーン、コントラバス、左右にホルンを一人ずつ配置するなどの工夫がされていましたが、実際の音響としてはそれほどの効果は生んでいませんでした。構成的にも、これから何か展開していくのかなと思ったところで終わってしまったので、残念でしたね。3.0

 

4. Magnus Lindberg (1958-) «Shadow of the Future»

リンドベルイはフィンランドの作曲家。現役の現代作曲家の中では最も有名な一人じゃないでしょうか。

以前のリーム祭り最終日のときも紹介したラウタヴァーラと同様、調性的な響きや伝統的なオーケストレーションを取り入れつつ、新しい表現を模索している作曲家です。これがフィンランドのスタイルなんでしょうかね。あるいは音楽教育の伝統か。

まず彼の作風を紹介しておきましょう。2002年のクラリネット協奏曲です。冒頭数分ですぐに作風はわかると思います。

 

Magnus Lindberg – Klarinetconcerto

 

さて今回の作品もやはり調性をかするような表現が多いですが、楽器法は見事だったと思います。特にハープ、ピアノと鍵盤打楽器の組み合わせは面白かったです。金管の盛り上げ方も良かったです。中盤で若干ダレるなと思った瞬間もありましたが、全体的には良い作品でした。6.0

 

 

 

それほど期待していなかったコンサートでしたが、最初の作品を聴けたのは大きな収穫でした。運が良かったですね。他の彼の作品も是非聴いてみたいところです。