6月29日、ロペス先生門下生の作品発表コンサートがありました。これが今年度最後の学校行事でした。
前日リハーサルを行って、この日は14時半から開始。僕は1時間前に到着するように出発しました。家を出てトラムで向かおうとすると、
ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト運動)の連中が。ああそうか、土曜日だから……
僕がパリに住み始めた去年の秋から毎週土曜日のデモは続いていて、今も細々とやってるみたいです。大きなデモはいつも中心部のシャンゼリゼ通りを練り歩いていて、僕の住んでいるエリアからは遠いのであまり生活には関係なかったのですが、こんな家の近所でやってるのは初めて見ました。
警官隊も来ていましたが大きな衝突は特にありませんでした。まあこの後どうなったかは知りませんが。とにかく自分はコンサート会場へ急ぎましょう。
会場はパリ東部の図書館内にある多目的ホールで行われました。漫画コーナーを発見したので少し紹介。
エマと、隣にあるのは『クジラの子らは砂上に歌う』です。漫画原作は割と好きだったんですがアニメはよくなかったですね……もったいない。
今期放送のヴィンランドサーガ。もちろん見ますよ。
明日のジョーの隣には『恋は雨上がりのように』。このアニメも視聴中断してしまいました。日本の図書館にこんな新しい漫画を置くことは出来ませんから、この面ではフランスの方が恵まれていますね。
果たして人が集まるのかねと思っていたら案外席は埋まりました。ちなみにプログラムの最初が僕です。新入りですからね、仕方ない。
作品タイトルは «La cloche du destin sonne 5 fois» 、日本語で『運命の鐘は5回鳴る』です。4種類の音素材に限定して、構成的な面白さを追求、したつもりです。発想自体は我ながら悪くはないと思っているのですが、いかんせん電子作品をちゃんと作るのは初めてだったので、音の扱いにまだ素人くささがたっぷり残っているのが恥ずかしいというか何というか。まあこればっかりは経験を積むしかないですから、勉強ですね。
会場にはスピーカーが20数個設置されていて、それをアクースモニウムで演奏します。ただミキサーの割り振り方が特殊でかなり演奏がしづらくて、ヒロくんやイーチャオと「これは厄介だね」なんて話していました。まあどうせ大したリハーサルが出来たわけでもないですから、本番ぶっつけで何とかしましょう。
僕の曲が終わって、お客さんの反応は悪くない感じでした。ヒロくんにも「土壇場で作ったと言う割にはよく出来てたんじゃないですか」なんて言われましたが、作品の出来については自分が一番よくわかっています。
もちろん作品を最後まで仕上げることが大事なのは言うまでもないのですが、その次のステップとして、ちゃんと核を持った作品を作ろうとしなければいけません。アニメで言うところの企画ですね。この作品は何を実現させようとしているのか、そのために具体的にどう工夫して作曲をするのか、それを練って練って作る、というのを積み重ねなければ、ただその場しのぎで作品を作り続けてもあまり意味はないわけです。
そういうのは言葉で覆い尽くすことも出来ます。現に慣れてくると、表面上の要素や言葉の上での解説だけ仕立て上げてそれらしく見せることが出来るようになってしまうわけです。そこに耽溺し始めたら死にます。作家として。なのでこれは自分で自分を見張る以外には道がないのです。
そういう見方をすれば今回の作品はロクなものではありません。これが自分の墓に刻まれるに相応しいと胸を張れるくらいのものでなければいけませんから。それは作品のクオリティではないんです。そこに作家としての意志が刻印されているのかどうか、それが一番大事なことです。
コンサートは案外早く終わって、17時頃には片付けも終わって打ち上げの時間になりました。ヒロくんにはまた近いうちに会おうと約束して、ロペス先生に挨拶してから僕は早めに抜けました。なんせこの後シュトックハウゼンのあのオペラがありますから。いや当初は発表会と被ってたので行くのは諦めてたんですが、無事に行くことができてよかったです。
コンサート記事でも紹介した通り、途中で会場を移動したのですが、そのときの写真を最後に紹介しましょう。
37度のクソ暑い中ですが、この川沿いにはたくさんの人がいました。21時はまだまだ明るいですね。みんな飲んだり食ったりしたものをそのまま川に捨ててます。だーから汚ぇんだよパリは。