Grand Soir Olga Neuwirth -Ensemble intercontemporain 3/16@CdlM [5.5]

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3月16日、シテ・ドゥ・ラ・ミュージックのアンサンブル・アンテルコンタンポランのコンサートに行ってきました。内容は昨日のコンサートと同様、オーストリアの作曲家オルガ・ノイヴィルトの特集です。

 

プログラム

 

以下演奏順に紹介していきます。

 

1. Luigi Nono (1924-1990): «… sofferte onde serene …» (1976)

ルイジ・ノーノはイタリアの作曲家で、ダルムシュタット組の一人です。この作品は磁気テープに録音済みの音と舞台上のピアノを混ぜた作品で、テープ内のピアノは初演も務めたマウリツィオ・ポリーニが弾いています。英語版Wikipediaに作品概要があります。邦題は『苦悩に満ちながらも晴朗な波…』です。

正直言って僕はノーノという作曲家がそれほど好きではありません。現代作曲家の中でも演奏機会が多い人なのでこれまでいろんな作品を聴いてきましたが、これは面白いと思ったものはほとんどありませんでした。今回のもあまりピンと来ず。

こういう仕掛けの作品なら、録音されたピアノと舞台上のピアノがどのようなやりとりを交わすのか、というのが焦点になると思うのですが、そういった面白さは追求していないみたいです。二つの間に妙な温度差があったりするのも違和感があります。なぜ2台ピアノではなく録音でなければいけなかったのか、という理由が僕には見出せませんでした。3.0。

 

ピアノはアンテルコンタンポランの数少ない日本人メンバーの永野英樹さん。Youtubeに動画もあるので、おそらくレパートリーのようなものなのでしょう。一応紹介しておきます。

 

 

2. Olga Neuwirth (1968-): «Aello – ballet mécanomorphe» (2017)

本日の主役。フルートソロに2つのミュートトランペット、弦楽器群、電子ピアノにタイプライターという変わった編成。オケにタイプライターが混ざっていると今ではつい『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を思い浮かべてしまいますね。

だいたい3部構成で最初は3拍子のパロディー舞曲風、中間部が静かな薄いアンサンブルになって、最後にライヒ風のユニゾンになります。昨日のシネ・コンセールのときも調性をちょっと濁してパロディーっぽくした音楽を多用していたので、この作曲家の趣味なのでしょう。中間部がひたすら退屈なのがもったいないですね。目玉のタイプライターが面白く使われていることもなく。電子ピアノでチェンバロみたいな音を使っていたのは少し良かったです。3.5。

 

3. Olga Neuwirth: «Hooloomooloo» (1997)

こちらは打って変わっていわゆる「現代音楽」っぽい作品。このっぽいというのは悪い意味においてです。絵に描いたようなザ・現代音楽っぽい響きの集合体みたいな感じです。濁った響きをぶつければいいんでしょみたいな雑なハーモニー、困ったときのワウトランペット、細かい音で終始ちゃかちゃかやってた打楽器が突然ウッドブロックで大きな音を出すという、どれもこれもどっかで聴いたことあるような手法ばかり。

聴きながら「まあ30年前だったら多少はウケてたかもなあ」と思ってたら作曲年代が古かったのに後から気づきました。こういう古臭さを感じる瞬間というのは我が身に置き換えると大変つらいものです。自分がそう思われる恐怖と死ぬまで対面し続ける運命にあるわけですからね。時代の変化に耐え得るものとは何かという視点を忘れずにいたいものです。2.0。

 

4. Ramon Lazkano (1968-): «Ziaboga» (2019)

スペイン出身でパリで音楽を学んだ作曲家。アンテルコンタンポランの委嘱作品で、今回が世界初演です。編成はオーソドックス、電子音楽要素はありません。先ほどの作品と比べるとだいぶ洗練されています。弦楽器群が全員弓を置いて楽器をぽこぽこ叩く場面が2箇所ほどあるのですが、そこらへんは面白かったです。

しかし何より長いんです。33分。アクースモニウムのときにも言いましたが、作品が20分を超えるなら相当構成に気を配らないと絶対に飽きます。聴いてる方の集中力もそこまでは持続しません。だらけてるなーという印象を一度持たれると挽回は難しいです。連載漫画もそうでしょう。しかもこの作品は全体の音量がずっと抑えめで進行しているので、なおさらバリエーション不足に陥りやすいです。ラストだけはさすがに盛り上げていきましたけどね。巨大作品は難しい。4.0。

 

5. Olga Neuwirth: «Hommage à Klaus Nomi» (1998)

様々な作曲家の5つのポップス歌曲をカウンターテナーとバンド用に編曲したもの。エレキギターやドラム、シンセにチェロやサックスを加えたバンドです。

カウンターテナーがAndrew Wattsというイギリスの歌手なのですが、彼が実に良いキャラクターでかつ歌も上手だったので、面白かったです。普通の男声の音域から一気に女性音域へ駆け上がっていくのは見事ですね。音楽は普通のポップスと言えばその通りなのですが、ところどころ音の使い方は工夫されていました。やはりこういう方面の方が向いている作曲家なのでしょう。

大トリに全然趣向の違う作品がきましたが、個人的にはむしろこれに救われたな、という感じです。5.5。

 

 

残念ながらそれほど見どころのないコンサートでしたが、新作はこんなもんです。これからも懲りずに何度でも行きましょう。