6日目(7月21日 火曜日)
7:30起床。
ここに来た初日に買っておいたカップ焼きそばで朝食。Wok Styleと書かれたタイカレー味で、日本ではまず売られないような独特の味。でもクセになる感じで嫌いではなかった。
残念ながら天気は良くない。まあ予報は当たりますわね。
東駅を9時に出発する電車に乗らないと間に合わないので急いで向かう。途中のバス停でちょうどバスが来たので乗ろうと思ったらスルーされた。え、なんで? 手あげてなきゃだめとか? 二人して「おぉい!」と叫びながら後を追うように小走りで駅へ。
ギリギリではあったが無事に間に合った。電車の中で一息。
ラウターブルンネンののどかな景色を味わいながら、
昨日もやってきたクライネシャイデック駅へ。おおすげえ人が並んでる。これどうも予約客だけじゃなくて当日客の列もあるらしい。あれ、完全予約制じゃなかったんかい。ここらへんはよくわからない。まあとにかく並んでいよいよユングフラウ鉄道に乗り込む。
景色を眺めるために窓際を確保したがすぐにトンネルに入るのでそれほどの恩恵はなかった。
途中で5分ほど停車して、景色を見たい人は降りて窓からのぞくことができる。
こんな感じ。
その後ユングフラウに到着。時刻は11時半前。帰りの鉄道も予約済みで13時40分頃に発車する。昨日の案内所のお姉さんに2時間くらいあるとちょうどいいと言われてその時間にしたのだが、この時間設定に後々苦しめられることになるとは。
ルート通りに展示や施設を見てまわっていく。この5番6番が罠だった。
ユングフラウは気象観測の基地でもあるので、その歴史を紹介している。
次いで外へ。天気がよければユングフラウの山々が目の前に見えるはずだが……
なんも見えねえ。
まあこの雲の合間から光がさしている光景は悪くないですけどね。でも晴れてるときに来たかった。
よく見ると下の方で歩いてるグループを複数発見。マジかよ、ここからどこへ向かうんだろうか。さすがにこれはちゃんとした雪山の装備がないと無理そう。
こちらの方は多少晴れている。ここで待っていればひょっとしたら雲が晴れる瞬間もあるかもしれないが先へ行かねば。
デジタル表示が写っていないが、このときの気温は1.6度だった。今回はちゃんと長袖2枚着てその上にウィンドブレーカーを羽織っていたのでそれほど寒くはなかった。いやもちろん寒いのは寒いけど。
その後、長い廊下を歩いた先に再び外へ出る。ここが案内図の5番。
ここから歩いた先に小屋があるらしい。遠くの方へ歩く人の姿がここから見えるのだが、絶望的な遠さを感じる。ええー本当に45分で行けるのか?
現在時刻は12時。仮に片道45分で行けたとして、往復したら13時半。あまりにギリギリなので挑戦すべきではないのだが、とりあえず行けるところまで行ってみようの精神でまずは歩き始める。
歩き始めてすぐに雪質の厄介さを思い知る。砂状っぽくなっていて踏み固められた場所がまったくなく、どこを歩いてもずぼずぼ埋まりながら進むしかない。これが実に体力を奪われる。しかも標高3400メートル、空気も薄い。僕もケンも雪道用の登山靴ではないので、今は平気だがなんだか雪が染みてきそうな気配もある。
決断するなら早い方がいい。行くべきか退くべきか……
iPhoneで時間をちらちら確認しながら、12時40分になっても着かなかったらもう引き返そうと決めた。それまではひたすら歩くことにする。
ここを歩いているときは完全に無の境地で、なぜスイス旅行でこんなことをする必要があるのか考えてしまったら足が止まってしまうので、とにかく歩く。
なにせ時間に追われているのがつらい。もし時間に余裕があって自分のペースで休みながら歩いていいのならこんな雪道だとしてもだいぶ楽だと思うのだが、足を止める時間がないというのがキツい。空気の薄さを紛らわせるように水をちょくちょく補給しながら歩いていくと、
ようやく遠くに小屋が見えてきた。残りこの距離を歩くのもつらいのだが、ここまできたのなら最後まで行かなくては。
ついに到着。時間は12時35分、なんとか目標クリアである。
今調べたのだが、ここはメンヒスヨッホヒュッテ(メンヒの山小屋)という、名前の通りメンヒ山に登山する人のための小屋だという。中にはこのようにレストランと宿泊施設も備えられている。レストランは大盛況でこの扉の外にも人が並んでいたくらいだった。
踏破記念撮影。いやーこの雲がなければ絶景だったんでしょうけどねえ。
とにかく時間がないので休む暇もなくすぐに引き返す。またこの厄介な道を歩くのかと思ったら、
帰り道はくだりなので、むしろ砂状の雪を利用して軽く滑るように歩くことができる。こりゃ楽チンだ。これなら帰りはもっと短時間で戻れるだろう。やはり上り坂でさらに砂雪というのがきつい理由だったんだな。
途中で遠くの方からゴゴーっという音がして雪が少し崩れた。もっと近くで見たかったな。
帰りは20分ちょいで戻ってこれた。
椅子の写真を撮るのを忘れてしまったが、ここにも寝そべるタイプの椅子が並べられてあった。休憩がてら座ってみるとあーこれはいけない。苦行を乗り越えたこの状態ではもう立ち上がることができぬ。1分だけ休んで鉄の意志で背中を引き剥がして立ち上がる。
それにしても登山靴が染みてくるかなと思ったら意外に最後まで雪を防いでくれた。靴下はまったく濡れていない。デカトロンで100ユーロで買ったので登山靴にしてはかなり安物だと思うがよく働いてくれた。いやー買っておいてよかった。
こんな感じのスライダー遊びもできるようだ。大人1回20フラン。たっけーよ。
さて残された時間はわずかしかないので、急いで残りの展示を見て回る。
各所が動くかわいい模型だった。
スイスといえば牛と時計ということでこんなものが作られたのだろうか。当然僕はアイーンのポーズで写真を撮った。
採掘の歴史がパネルで並べられている。
ここはヨーロッパ最高標高のカルスト洞窟だそうで。この先は入れないのだが奥を是非のぞいてみたかった。
ツェルマットにもあったアイスパレス。
その先にもまた外に出るポイントがあったがやはり雲がかっている。まあしょうがない。こういう日もある。
お土産屋、チョコレート屋をざーっとのぞいてから、
時間ギリギリで帰りの鉄道に乗り込む。なんでポストがここにあるのかは不明。
いやーまさかこんな大変な登山をするなんて思ってもいなかった。ケンはあの雪道で相当参ったようで車内でグッタリしていた。まさか案内所のお姉さんも2時間であそこに行く馬鹿はいないだろうと思って言ったんだろうけどね、ここにいましたわ。
この後はまずクライネシャイデックに戻って昼ごはんだ。